3DCGクリエーターが左手キーボード(左手デバイス)としてTourboxを検討した結果

(約 6,700文字の記事です。)

画像編集作業が楽になるコントローラー TourBox

アマチュアの3DCGクリエーターが左手デバイスとしてTourboxを導入しようか検討して情報収集した結果、Tourboxを購入しなかったという結論に至るまでにした情報収集と検討の経緯を記事にしておきました。

なお筆者はTourboxを買って試したわけではなく、買うかどうか迷い、自分の要求を満たすかどうか情報収集して検討しただけです。結果、Razer Tartarus Proを買いました。

なので以下の記事では必然的にTourbox vs Tartarus で検討しています。ただしどちらもカタログスペックでの比較です。購入前の検討だから実機がないのは当たり前

2020/10/06 追記
Tartarus Proを買って一工夫した結果、ボタンの感圧化に成功。1ボタンを普通に押す場合と強く押す場合とで2つのホットキーを呼び出せるようになりました。また感圧化とは無関係に、標準機能のみで親指のボタンと他のキーとを組み合わせることで6~8種類のホイール操作が可能であることも確認できた。ホイールもたくさんの機能に使える。結果、今の私の要求を全て満たしたのでTartarus Proで満足です。詳細はこちらの記事をご覧下さい。

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据え置き型の左手キーボード(左手デバイス) Razer Tartarus Proを触った感想(2020年10月版) (約 7,100文字の記事です。) Razer Tartarus ProがAmazonから届いたので早速いじりながらレビュー。とはいえかなり情報が出回っているデバイスでもあるので、ネットで...

追記終わり

目次

筆者は元々ホイール付き左手キーボードユーザー

私が使っている左手キーボードについにガタが来た(n52teという化石デバイス)。

BELKIN ゲームパッド Nostromo スピードパッド n52te F8GFPC200QE

ホイールのノッチの認識がずれるようになった。効いたり効かなかったりしてイライラMaxに(笑)ホイールはカメラのズームやブラシの直径、Z intensity(ブラシ強度)の変更で酷使される部分なので仕方がない。で、改めて左手デバイスの現状調査をした結果、TourboxがAmazonから買えるようになっていたので検討したわけです。

果たして今まで通りのホイール付き左手キーボードがいいのか、新進気鋭のTourboxがいいのか。

以下、Tourboxを本気で導入しようと思った際に「ここはどうなの?」の答えを調べて見つけることができたのでそれらをまとめることにします。
なお、冒頭にあるように筆者がTourboxを触った結果の感想ではありません。あくまでもネットで「気になる機能はどうなっているのか?」を調べた結果の、調査した情報レベルでの比較検討です。ご了承下さい。また今後ソフトウェアのアップデートで不可能が可能になることなど有り得ますが、あくまでも2020/10/03時点での調査結果です。

もちろんサンプル品が手元にあったならばそりゃもちろん触りたかったさ。

ダラダラ書いてもしょうがないので、3DCGのモデリングに使う前提で、私にとってNGに至った順から書こうと思う。後半にTourboxの良さげなところを書く。個人的には、NG部分が決定打となり、その部分をRazer製の左手キーボード2種類がカバーしているみたいなのでそちらの購入に至ったわけだが。

TourboxやTartarus以外の左手デバイスの最新の調査記事はこちら。

3DCG考え中
404: ページが見つかりませんでした | 3DCG考え中 主にZbrushとBlenderを使って3DCGで色々と試行錯誤中。

長時間の作業で親指と人差し指の付け根に負担が集中する可能性

YouTubeでTourboxと検索すればレビュー動画もたくさん出てくる。また公式動画などを見ても分かるように、親指の利用頻度が極端に高い。

より正確に言うと、人差し指と親指の2つの指に操作が集中しているため、8時間などの長時間の作業時には各指の付け根への負担は無視できないのではないかと予想する。(予想するのは私の自由です。また予想が当たるかどうかは不明。)

親指も人差し指も使わないボタンは、サイドボタンと、垂直・水平ホイールくらいだろう。それ以外は人差し指か親指に負担がかかる。逆に小指の出番はないだろう。「指への負担の均一化」という観点で考えるとそのバランスが悪い気がするのだ。

1, 2時間の作業ならいざ知らず、8時間以上作業が数日も続くとなると、やはり蓄積疲労などの不安が残る。

特に親指の付け根は保護したい。他の指と違って親指の付け根だけが上下と前後に大きく回転可能な関節だからこそ、動かすと負担が大きいのだ。そして一度痛むと回復が難しい。日常生活で物を掴むことすらできなくなるし、それだけ重要度の高い関節なのだ。そこへの負担が大きすぎるデバイスは、使うのに躊躇する。

私は過去に人差し指の付け根が腱鞘炎気味になったことがあり、指への付け根への負担にシビアだ(笑)

note(ノート)
右手人差し指の付け根が痛い (Zbrush練習 12)|大和 司 (約 1,000文字の記事です。) Zmodelerを色々試した結果、マウスの中クリックを多用しすぎたせいか、右人差し指の付け根が腱鞘炎状態に。これはまずい。左手ホイールに割...

もちろんTourboxを長時間使った結果どうなるかは、使ってみないと分からない。だが一人の購入検討者として公式動画を見て感じた不安は、やはり長時間の作業で親指と人差し指の付け根に負担が集中するかもしれないと感じたことだ。私は結構それを重要視している。

なお、Tourboxを長時間使った結果どうなるかは、使ってみないと分からない。実機がない以上、想像で購入を判断するしかない。。。

対してRazerの左手キーボードならば小指、薬指、中指にもバランス良くボタンを割り当てられる。

Razer Tartarus Pro 左手キーパッド 20個のアナログ動作スイッチ ホイール付 8方向サムパッド 32キーすべてをカスタマイズ可能 【日本正規代理店保証品】 RZ07-03110100-R3M1

親指の頻度に合わせて負担のかからないボタンに多用ボタンを割り当てると負担そのものをまずは減らせる。十字ボタンならば上下と前後に指の移動負荷を分散させられるのも嬉しい。

Tourboxのボタンの組み合わせ数が想像以上に少ない

こちらの記事のスクショを見れば、可能なボタンの組み合わせがよく分かる。

Dream Seed.
クリエイター向けの左手ツール「TourBox」レビュー。画像系の人には便利そう 現在、Makuakeで先行予約販売中のソフトコントローラー「TourBox」をレビュー用に提供頂きました。実際…

これを見て分かったことは、ボタンの組み合わせ総数が意外と少ないことと、ボタンの組み合わせ時にも親指動作が必要、ということだ。また親指に負担がかかる。

3DCGではお絵描きに相当する「モデリング・スカルプト」の他にも、キャンバス操作に相当する「ビュー操作」が多いため、割とホットキーで操作したいシーンが多い。360度見回すわけだから。結構常用するホットキーが多い。

それらに加えてCTRL, ALT, SHIFTの単復の組み合わせ+基本キーがあるわけだから、3つの修飾キーをそれぞれTourboxのボタンに割り当てると、Tourboxの組み合わせ総数だとちょっと不安を感じる。そしてそもそも、ボタンの組み合わせと割り当て機能とは憶えにくいのだ。縦横に格子状に配置されたボタンを憶えるよりも面倒で憶えにくい。

親指担当のボタンのダブルクリック、また親指に負担が……

例えば十字キーのダブルクリック操作も、多くの人は親指でダブルクリックするだろう。

もう親指を酷使することはできない。この辺でもう購入意欲がゼロ。

Tourboxにはキーマップの切り替え機能がない?

少なくとも見当たらなかった。もちろんソフトごとにプロファイルを切り替えることができるのは確認したが、私が言っているのは「特定のボタンを押している間だけ全ボタンの割り当て機能が一時的に別のものに切り替わるキーマップの切り替え機能」なのだ。私の化石デバイスであるn52teでも3種類のキーマップがあるので、ホイール操作は実質3種類ある。現行品のRazer製品では8つのキーマップを一時的に切り替え可能だ。

なのでRazerの左手デバイスでは1つのソフトに対して最大で8つのホイール操作を割り当てられる。キー全体にはかなりの数の機能を割り当てられる。さすがに憶えきれないほど割り当て可能だ。もちろんソフトごとにそのプリセットを個別に保存可能。(プリセット保存数は無制限だし、アクティブなソフトを切り替えるごとにプロファイルも自動切り替えも可能)

キーマップ切り替えなしならば、Tourboxの独立したボタンにそれぞれCTRL, ALT, SHIFTを1つずつ割り当てると、押すだけで使えるボタン数が7個しかない。そしてその修飾キーは他のキーとの組み合わせの使用が難しいシーンが多いと感じる。結局、1ボタン1キーでの運用を考えると、ワンプッシュだけで操作可能なボタン数が足らなすぎる。

Photoshop, Lightroom, Premiere専用では?

そう思える。確かに上記ソフトではやたらとスライダのパラメータ操作が多いため、その点では3つの独立した回転入力系は効率的だろう。

だが、お絵描きや3DCGモデリングでは、回転体入力系以外にも、ボタン入力系の数がもっともっと必要なのだ。足らなすぎる。例えばよく使うブラシは4, 5種類はあると思うし、それらに独立したホットキーを割り当ててボタンワンプッシュで切り替えたい。だが同時押しするボタン数が複数だとワンプッシュではないので操作にイライラするし、指への操作時の負担も増える。

ここまで考察すると、Touroboxは左手デバイスではあるのだが、「全てのクリエーターのためのデバイス」というのはちょっと賛成できない。「一部の作業に特化したデバイス」だと感じた。Photoshop, Lightroom, Premiereユーザーにはとても便利に使えることだろう。

1万9千円台は高額商品

ハッキリ言って高い(笑)私が購入したRazer Tartarus Proですら1.5万円台なのだから。デュアルファンクションが不要ならばTartarus V2が約1万円で買える。Razerのホイール付き左手キーボードの2倍の価値があるかといわれると、疑問を感じた。

Amazon.co.jp販売商品がないので返品に不安が残る

これも大きい。私の知る限りAmazonから買えるTourboxは全てマーケットプレイス出品商品なので返品・返金に不安が残る。対してRazer製品は2つともAmazon販売商品なので、機能に納得ができなければ安心の返品保証がある。

Tourboxには進化の兆しはあるし、信頼性もあるけれど

でも今回は購入を見送った。公式サイトを見る限り、ソフトウェアも更新されていて、アクティブなソフトごとに自動的にプロファイル切り替えも実装されるなど、着実に進化している感じはあるが、現状だと、私の要求については色々と満たせない部分が多いため、今は買わないし、将来的にも買わない気がする。特にボタン数の少なさは何ともならない。また親指への負担の高さも気になる。加えて高価格だ。

Razerの次世代機がホイール付き左手キーボードとして今後も市場にあり続けるならば、次もそちらを買うだろう。もちろんRazerの管理ソフトのシナプス3がもっとまともになればゲーマーからの支持も高まるのでそちらにも期待している。

動画編集ユーザーには動画専用のシャトル入力装置もある

Tourboxは確かにPremiere以外の動画編集ソフトでも便利に使えると思う。ホイールの多さは魅力だろう。ここはTourboxをオススメできるユーザー層だと感じる。だが2万円という価格がネックだ。7千円程度で老舗ブランドのエントリーモデルが買える上にその評判もそこそこいいから、果たしてそういうユーザー層をTourboxが取り込めるかと言われると、分からない。

物欲だけで買い増しに至るほどの強烈な魅力がないかも

画像編集作業が楽になるコントローラー TourBox

結論はこれ。もちろん資金に余裕があるなら試してもいいだろう。あるいは今の左手デバイスに不満があったり買い換え検討しているならば購入を検討する価値はある。だがこれ単体での買い増しは、だいぶ迷うだろう。私には無理だ。

最後に ディスるつもりはなく、自分の用途に合わなかっただけ

もちろん製品として魅力手な部分も多い。まず3つも独立ホイールがあるのは唯一無二だし、そのボタン類の信頼性や感触の良さの評判はYouTube動画でたくさん見かけた。ただ、「とても便利にそれを使える用途」にはある程度の向き・不向きがあると感じた。今回は自分の用途には不向きだと感じただけである。

なので、常時2~3のホイール操作が必須という作業には他に選択肢がないほどの便利グッズであることは間違いないだろう。

あとは各自の用途に応じて左手デバイスや左手キーボードを検討して見欲しい。

なおRazer Tartarus Proを実際に使ってみたレビュー記事は近日公開予定です。

今回の創作活動は約2時間30分(累積 約1,919時間)
(625回目のブログ更新)

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