3DCGで何をどう作るか考え中

ZbrushとBlenderの使い方、ヒント、コツなど。たまにZbrushプラグイン開発も。

MAXONのZbrush価格とZbrushの将来の危惧(2022年4月版)

(約 7,400文字の記事です。)

MAXONが販売元になってからついにZbrushの今後の販売方法や価格が明らかになった。既存のZbrushユーザーにとって金銭的に厳しい状況となり、今後のZbrushの将来性に関する心配事についても検討してみた。

この情報は2022年4月21日現在の情報であり、将来的に変わる可能性がある。

対象読者はZbrushユーザーです。

はじめに

なお、この記事では「以前はこうだったが今回からこうなった」という比較は詳細には行なっていない。というのも、以前がどうだったかに興味がある人は一部の既存のZbrushユーザーであってこれからのユーザーには関係ないし、既存ユーザーであっても「要するに今後はどうなの?」だけにしか興味のない人が大半だと思うからだ。

もう利用できない過去の情報を顧みてもしょうがないと思うので。

Zbrushの今後の販売形態

上記画像は2022年4月21日現在のスクショです。詳細はこちら。

Maxon - Plans and Pricing - Maxon

MAXONでの公式な扱いについてはこうなっている。

  1. 1ヶ月ごとのサブスク販売(毎月課金)
  2. 1年ごとのサブスク販売(12ヶ月分を一括課金)
  3. 買い切り販売(アプデ権なしの永久利用権)
  4. MAXON ONEという包括的なサブスクにZbrushが含まれる

(他にも国内代理店での扱いがあるが、それについては各代理店のサイトを参照すること。この記事では割愛。)

金額については基本的にはドル建て(ドル価格を基準とする)計算らしいが、日本向けの公式サイトの価格は日本円となっており、どうやら為替相場の変動を反映させた価格のようだ。(だからもしかしたら購入タイミングによって総額は多少変化するのかも知れない。)これは海外製品を買う場合には避けようがないので、総額の変動は多少はあると思っていたほうがいい。この件についてはこれ以上は言及しない。そういう理由なので、以下では月額などの金額は概算で表記していると思って欲しい。

③ 買い切り販売(永続ライセンス購入)については11万円以上なので、それならば約3年分のサブスク費用に充てたほうがマシなのでこれも検討しない。

④ 「MAXON ONEというサブスクにZbrushが含まれる」件についても、
MAXON ONEが月額 約13,000 ~ 19,800円と高額であり、
Zbrushのみを使いたい当記事の読者のニーズからずれると思うのでこれについてはこれ以上言及しない。(Cinema 4Dユーザーの一部のユーザーにとっては実質無料でZbrushが使えることになるのだろうが、そこに興味はないので。)

Zbrushの月額利用料は約4千円~5千円

為替相場の影響を受けるので誤差が200~300円程度は含まれることはいいとして、ざっくり言うと、今後、最新のZbrushを利用するためには月額4千円~5千円は毎月必要になるということ。これが重要。

1年ごとのサブスクのほうが割安だが12ヶ月分の一括支払いになるため、まとまった金額が必要になる。約48,000円~5万円と考えておけばいい。

毎月支払う場合には1ヶ月あたり約5千円~5,200円程度は必要。年額にすると約6万円だ。1年サブスクよりも1万円以上高くなる。

どっちみち、最新Zbrushの利用料として毎年5万円はかかると思った方がいい。

これを安いとみるか高いとみるか。

ユーザーによって金銭の負担が大きく変わった

業務利用でZbrush依存のワークフローしかない場合には、1年程度はZbrush 2022でアプデせずにしのぐこともできる。だが永遠にZbrush 2022を使い続けるわけにもいかない。あくまでも一時しのぎでしかない。いずれはサブスク購入するか、あるいは将来公表されるであろうアプデ権の購入による永久ライセンスのアップグレードが必要だ。


問題は次のユーザーだ。

  1. 趣味でZbrushを触っている既存ユーザー
  2. これからZbrushを触ろうとするビギナー
  3. 学生や学校の教職員

趣味でZbrushを触っている既存ユーザー

趣味でZbrushを触っている既存ユーザーにとっては結構悩ましい問題だ。年額5~6万円は全く安くない。というのも、MayaですらIndie版によってフリーランスが42,900円で利用できるのだ。

Maya Indieについて。Indie版が発表された当時の感想です😊 Blender攻勢を受けてようやくAutodesk社も重い腰を上げた(のだろう)。だがその行動力を評価したいと思っている。そう、時代は少しずつ変わっている。デファクトスタンダードを作った企業が時代の変化に対応したということ、これを素直に評価したい。

Mayaはご存じの通り3DCG業界のデファクトスタンダードなDCCツールだ。それに対して実質的にモデリングしかできないスカルプト特化型のZbrushの価格がそれ以上というのは、ちょっと納得いかない高価格だと感じる。(個人的にはせめて3万円台ならばギリギリ納得できるのだが……。)

となると、既存のホビーユーザーは「Zbrush以外でZbrush相当のスカルプトができる他のソフトを探す」というアプローチを取るのが必然だ。選択肢はいくつかある。

Top 8 of the best Sculpting software for 3D modeling in 2022

選択肢はいくつかあるのだが、その選択肢の中のソフトもまた月額料金がZbrushと同等かそれ以上だったりするので、金銭面を理由としてZbrush以外を選ぶメリットがなくなる。そしてチュートリアルの少なさや、(スカルプト機能に限っては)その機能の知名度の低さが気になる。

この2つを考慮すれば、私の知る限りでは2つに絞られると思っている。(なおソフト選びの検討は各自で行なって下さい。)

  1. 3DCoat
  2. Blender

3DCoatは以前からZbrushのスカルプト機能とよく比較される。それほど優秀と言うことだ。だが3DCoatもまた月額4,400円程度かかる。これならばZbrush年額サブスクでいいことになる(笑)

なので消去法でBlenderのスカルプト機能を試すことになるだろう。もちろんBlenderのスカルプト機能はZbrushのスカルプト機能には及ばない点もたくさんある。BlenderはDCCツールであり、スカルプト機能はその一部でしかない。対してZbrushはスカルプト特化型ソフトなので、両者の実力差は必ずある。だがBlenderは無料であり、2.8系までである程度使えるように進化している。

なのでホビーユーザーの場合、ご自身が求めるスカルプト機能がBlenderのスカルプト機能で補えるか否か、これを見極めることになる。

そして残酷なことに、各自で試してBlenderのスカルプト機能が十分使えることがわかったとき、Zbrushから離脱することになってしまう。というのも、スカルプト以外のZbrush内蔵機能のほとんどはBlenderのアドオンやBlender以外の別のソフトウェアで代替可能だからだ。

だがもしBlenderのスカルプト機能ではどうしても不満な場合には、プロのユーザーと同様に、年額サブスクを買うしかない。それ以外に手はない。

これからZbrushを触ろうとするビギナー

こちらについても同様に「まずはBlenderのスカルプト機能を試す」ことになると思う。あるいは無料体験版のZbrushも試してみるといいだろう。Zbrushには30日間限定の無料体験版があるので、それを使ってBlender vs Zbrushを試して結論を出せばいいだろう。

学生や学校の教職員

実は学生と教職員については朗報がある。なんと驚きの「6ヶ月間で9.99ドル」でMAXON ONEが利用できる。MAXON ONEにはZbrushも含まれるので、当然Zbrushも利用できる。このページはなぜかドル記載だったので今の価格で換算すると(加えてクレカの為替手数料を考慮すると)6ヶ月で約1,500円程度、1年で約3千円程度でZbrushもCinema 4Dも使える。ちょっとずるい(笑)

なんだこの格差は!!!

とは言え、こういうアカデミック版の場合は一般的に商用利用不可なはずなので、あくまでも学生への布教用だろう。ソフトウェアではよくあるアプローチだが、しかしながら、この価格差を見ると、何だか理不尽な怒りを覚える(笑)

【番外編】Zbrush Coreへの不安

Zbrush代理店のオーク様の情報によると、Zbrush Coreの取り扱いが終了とのこと。旧Pixologic製品販売サイトでのみ販売中。

ZBrush > ZBrushCore 2021

Zbrush Coreの今後の扱いに一抹の不安を感じる。というのも、このページの親ページはこちらなのだが、

https://store.pixologic.com/

ZbrushをクリックするとMAXON公式サイトにジャンプし、Coreをクリックすると上記URLにジャンプする。だがMAXONではCoreを取り扱っていない。これって、どういうこと?Pixologic名義のサイトの運営とMAXONとの関係がイマイチよく分からない。なので今後Coreの販売継続やサポートに不安を感じる

そもそも買収した側のMAXONがCoreについて何とも思っていないならば、いずれCoreの販売&サポートが終了するとしてもおかしくはない。Coreは宙ぶらりんな状態だと言える。

当記事の読者の多くは無印Zbrushユーザーと思うのでCoreの話は番外編と言うことにした。が旧Pixologicの運営サイトと現MAXONの運営との間に統一感がないことへの不信感をここに残しておいた(笑)

【まとめ】Zbrush利用の月額料金は4千円~5千円

  1. 最新のZbrushの月額料金は4千円~5千円
  2. 業務利用のプロならば迷わず12ヶ月サブスク一択(最安だから)
  3. ホビーユーザーはBlenderや他ソフトのスカルプト機能との比較を検討すべし
  4. 学生ならばMAXON ONE一択
  5. Zbrush Coreユーザーは今後の動向に気を付けよう

うん、最新版Zbrushの利用料金については、実はPixologic時代からあまり変わっていない。若干の値上げがある程度だが長年の無料アプデからの差が大きいので面食らってしまう。

今回、決断を迫られるのはホビーユーザーだったりする。これによってホビーユーザーがZbrushから離脱するのか、サブスク購入によってZbrushを使い続けるかの分岐点となる。

あとはZbrush市場のユーザー割合次第だろう。プロユーザーが多いのかホビーユーザーが多いのか。プロユーザーが多ければMAXON側の売上は安定するだろう。もしホビーユーザーが多ければ、この戦略は裏目に出る。

(おまけ)個人的見解

本当は「まとめ」で終わってもいいのだが、ここから先は私のメモ帳と言うことで、個人的見解のメモを残す。

Zbrushプラグイン開発者として

Zbrushプラグイン開発者としては、正直、今回の月額については結構痛い。離脱組に入ると思う。というのも、毎月5千円以上のプラグインの売上を出して初めてプラスの利益になるわけだから、逆に5千円も売れなければ赤字なわけで。

また私個人の創作活動でZbrushの出番はほぼ無くなることが決まっている今、プラグイン販売の売上でプラスマイナス0ならば、プラグイン開発終了にしたことと大差ない。むしろ開発関連の時間の無駄ということになる。

また2022系で以後のサポートをしない前提でのプラグイン開発も、何だか片手落ちな気がすると思っている。現実問題、例えば2023のZPRファイルは2022では開けないはずなので、2022系でしか使えないプラグインに価値はあるか?と考えると、価値がない=売れない=だったら作らないほうがマシ、というオチに。

Zbrushのプラグイン開発の続投についてはまだ迷っている最中です。。。

ホビー勢離脱の予感

趣味用途でZbrushを使ってきた人は、2022のまま使い続けるか、Blenderのスカルプト機能に移行すると予想している。というのもホビー用途なのでそこまでスカルプトの微妙な機能を使いこなしているとは限らないからだ。(そしてだいたいでいいならばBlenderのスカルプト機能でもそこそこできてしまうのだ。)

重要なことはプロユーザーとホビーユーザーの割合、これが問題だ。これは私にも分からない。

また2022から2023へのアプデ権の価格についても、当然ながら現時点では未発表だ。だがZbrushの年額サブスクが4万8千円程度だということを考えると、アプデ権の価格は4万8千円からさほど安くは設定してこないのではないか?と思っている。というのも、MAXON側からすれば「全員年額サブスク」が一番おいしいからだ。年額サブスクへの移行を促す作戦をとる場合、それよりも安くて「ユーザーが流れ込む可能性のある」選択肢をわざわざ用意するとは思えないのだ。

というのも、MAXONがPixologicを買収した直後から「○月○日までにPixologicからZbrushを買った人には無料アプデ権を1年分付けるよ」「○月○日以後にMAXONからZbrushを買った人には無料アプデ権を付けないよ」という非人道的な戦略を取った過去があるからだ。

つまりMAXONはZbrush利用者からどうやっても月額約4千円を回収したいわけだ。ここを下回る戦略を取るとは思えない。

そうなればホビーユーザーであっても年額の48,000円を一括で捻出する必要がある。かなりの痛手だ。

加えて、もしBlenderのスカルプトモードをある程度使い込んでみたときに「そんなに悪くない」という結論になればZbrushからBlenderに移行するのは必然だろう。また過渡期の折衷案としてGoBアドオンを使ってBlenderとZbrushの相互の往復を利用してもいい。その間にBlenderでのスカルプトや、Blenderの機能を利用した効率的なモデリングを身に付ければ、2023が発表される頃にはBlenderでのワークフローが完成しているかも知れない。

そうなればZbrushからの離脱が完了ということになる。

ソフトウェアは理由の如何に関わらず「使われなくなる、シェアが小さくなる」と、縮退する運命にある。これは簡単に言うと「金回りが悪くなって、ソフトウェアをよくするための開発が緩やかに停止していく」ことに起因する。負のスパイラルで自然消滅、というわけだ。

Zbrushがこの負のスパイラルに入るような気がしてならない。今後のZbrushのメジャーアプデ時のアップデート権の価格次第だろう。

私個人としては、残念ながら少しずつ脱Zbrushに向けて動かざるを得ない。またZbrushプラグイン開発者としても今後の開発計画を見直さなければならないし、場合によっては事実上の「開発からの撤退」も視野に入れなければならなくなった。

Zbrushの時代が大きく変わろうとしている。





今回の創作活動は約3時間30分(累積 約2,792時間)
(813回目のブログ更新)

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