画力がないなら立体を作ればいい

3DCGでワンシーンメイキング(オリジナル小説の挿絵作り)

VDMブラシ、IMMブラシ、カーブブラシを重要視する理由

(約 4,700文字の記事です。)
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VDMブラシ、IMMブラシ、カーブブラシの重要性とスカルプト力に関する記事です。何でもかんでも力業で彫り続けても時間ばかりかかって上達した実感がない。そういう壁にぶち当たっている人にオススメ。

スカルプトが最も時間とエネルギーのかかる作業

そこで上記3つのブラシを駆使して、如何に繰り返しのスカルプトをしないでモデリングするかを考えたのだ。
3つのブラシは、最初に作るためにスカルプトが必要だが、一度作ってしまえばスタンプだ。
いきなり8割方の形が完成する。これはかなりの高速化につながる。微調整としてのスカルプトだけでいいのだ。

手抜きか一生懸命か、彫ったのかメッシュを移植したのか、無数の頂点群にそんな情報が含まれているか?Noである。頂点群は3次元の位置情報でしかない。その形が一緒ならば、中間は省エネが最も効率的だ。特に時間数は重要で、ベース作りに10時間かけてしまうのか、9割完成から仕上げまでに確保できる時間数が10時間あるかでは、全く仕上がりの質が変わってくる。

ベース作りにかける時間が最も無駄だと思うのだ。3つのブラシを使って、既存の形を生かしてベースを如何に早く作れるかに注目した。

スカルプトすべき場所が2か所になる

3つのブラシの出番が増えるほど早く形が出来る。そしてスカルプトすべき場所が2か所になる。

1つ目は、全く作ったことのない形を作るときであって、既存のブラシやメッシュが使えないとき。
あるいは新規にブラシを作るとき。
この場合には彫って作るしかない。最も手間と時間がかかる部分だ。ここを減らす工夫が必要だ。
作ったメッシュはなるべくVDM, IMM, Curveの3つのいずれかに保存して「次に同じような形を作るときにはそこからスタートする」ように準備できるかどうかが鍵となる。

2つ目は、既にできたメッシュを調整するとき。これは多少なりとも必要だがゼロから彫ることに比べたら一瞬だ。数秒~数分あれば十分だろう。
もちろん、スカルプト力がなければ質の高い仕上げが出来ない。だが、だからといってゼロからコツコツ彫ったとしても、ないスカルプト力で彫った分けだから、やはり同じ仕上がりレベルに達した時点でそこから先には進めない。結局、どっちも一緒。最高到達点は「自身のスカルプト力の限界」である。
だったらさっさとそこに至るまでのベース類は短時間で効率よく作り上げてしまうべきなのだ。で、完成として切り上げる。
浮いた時間でスカルプト力を高める努力をすればいい。必ず上達する。

実はスカルプト力を高めるための時間を確保するための手段であった

このように、Zbrush使いとしてあまり知られていない・活用されていない3つのブラシを駆使して、スカルプトを減らして作品を仕上げる&切り上げることを考える。なぜならば、スカルプト力を身に付けるためには、

  1. 情報収集(作例とその作り方)
  2. 自分で試行錯誤する(パラメータ調整と彫りテストの繰り返し)

この2つが必要になる。がむしゃらに彫っていても何も身につかない。なぜならばアナログの木彫りの彫刻ではなく、デジタルツールを用いたデジタル造形だからだ。デジタルでは知識が技術と等しい。作業は単なる慣れでしかない。ノミの使い方とは違う。誰が操作してもそのボタンを押せば同じ結果になるのだから。

スカルプトの情報収集

で、最も効率がいいのは情報収集による新たな知恵の獲得&それの実践による体得である。YouTubeなどで無料でどんどん知識=技術を身に付ければいい。それを知らずに何十分もかけた作業と、知恵を使って5分で仕上げた作業とは、結果がイコールになり得るのがデジタルの世界なのだ。

YouTubeよりも効率がいいのは実は書籍だ。日本語・英語問わない。書籍はまとまった情報が詰まっているので、webから情報をかき集めるよりもまずは既存のZbrushの書籍全てに目を通したほうが早い。(ただし、Zbrushの場合は古いバージョンと新しいバージョンではアプローチ方法が劇的に変わっていることもあるので、古い情報には注意)

自分で試行錯誤

これはあまり効率がよくないが、どうしても見つからない情報ならば自分で何とかするしかない。ストレスの割に成果が出ない可能性もある。逆に新発見は自分のノウハウになるし、公開してもいいだろう。

スカルプト力の向上のためには情報収集と実践しかない。時間が必要になる。だからこそ、スカルプト力なしでも造形できる部分は別の手法で効率的に作ってしまうのがいい。

でもローポリならスカルプト力が無関係

実はこれも重要だ。肌のモデリングばかりではない。ロボットのようなハードサーフェスを作りたい人もいる。ハードサーフェスとなると、逆にスカルプトしないでローポリベースで作ったほうがかっちり決まる。仮にスカルプトするにしても、ムーブ系ブラシで大きく滑らかな有機的カーブを作ることがほとんどになると思う。筋彫りであっても滑らかさが最重要となるだろう。

滑らかな筋彫りはスカルプト力そのものだが、筋を「彫る」のではなくてVDM, IMMで「作る」または、カーブブラシなどを駆使してブーリアン演算で「作る」ことも可能だ。彫っているわけではないから結果が安定しているし、スタンプなので一瞬だ。
(もちろんそのベースとなる形を最初に彫るか、買うか集めるかして入手しなければならないわけで、スカルプト力があれば自分で作れるから、スカルプト力は最初にあって欲しいものの、常にそれを使って力業では時間がかかりすぎる。自己満足は手に入るだろうが、それは形に表れない。満足感は心の内にしか宿らない。他人にはどうでもいいことであったりする。)

このアプローチは実は、Zbrush以外の3DCGソフトでは割と普通。Blenderのプラグインなどでは、ブーリアン演算の結果、筋彫りだけを彫り込むツールや、ドラッグ一発でランダムな壁面模様を作りつつ矩形に穴を空けるツールがあったりする。もちろん一瞬だし、造形も綺麗だ。

そうやって8割方の造形を一瞬で済まして、細かい所をハイポリ化して彫る、VDMブラシで作る、あるいはIMMブラシなどで形を追加して仕上げればいい。

こういうワークフローを作るためには、何でもかんでもスカルプトありきの造形・考え方は足かせになる。苦労する割にはショボい造形でしかなくて、しかもスカルプト力を高める活動をしていないのでいつまで経っても独りよがりな造形から脱出できない。これの悪循環で、ただただ辛いことになる。3DCGを止める、ということになる。

ゴールに近いスタート地点を設定する

3つのブラシを使う理由はこれだ。試合や競技のレギュレーションがあるわけでも無いのに、なんでキューブや球から造形をスタートするのか?作りたい形に最も近い形から造形を始めればいい。スカルプトがその妨げになるならば、スカルプト以外で造形できる手段を有効活用すべきだ。

Zbrushは、スカルプトはハイポリベースであり、VDMブラシは彫らずにスタンプするスカルプト。逆にIMMブラシはローポリベース「も」いける。カーブブラシはその中間。
なので、ハイポリもローポリもスカルプトなしで「形を作れる」ツールが既にあるのだ。使わない手はない。
そしてそのツールを、自身の経験値と共に増やすことができるのだ。使わない手はない。
そうすれば経験値に応じて自分のツールが増えるので、ますます効率的に作れるようになる。そして浮いた時間をスカルプト力の強化や作りたい物への新たな模索の時間に充てればいい。
このワークフローでは上達するしかない。絵と違って何年やっても上達しないということはあり得ない。時間あたりに作れる形のバリエーションが増え続けていくわけだから。スカルプト力が向上し続けるわけだから。

この仮説を検証するためには自分で実践するしかない

とは言ってもこれは仮説でしかない。でも理論上可能であり、使う物がデジタルツールである以上、実現できそうな気がする。なので自分で実践してみようと思う。経過はきっとブログやnoteで公開されていくことだろう(笑)

スカルプトすること、こだわることへのメリハリが出来た

この作戦で行けば、今、目の前のスカルプト作業について常に考えることが出来る。

  1. VDMブラシ化して、それ経由で形を作り、VDMブラシを増やすのか?(資産の増加)
  2. 既存の形を作り出し、調整のためにスカルプトするのか?(使い捨て作業)
  3. 完成型をIMMブラシ化するのか(資産の増加)

2が最も無駄。一生懸命やっても「次に」つながるスキルがない。なので、1か3かを考えて、使えるエネルギーや時間を検討する必要がある。
つまり、常に二択だ。途中のモデリングをブラシ化することを考えるか、完成物をブラシ化するか。

結局、作りながら自分のスカルプト力を試すことが一番時間の無駄ということになる。試行錯誤と実践とは切り離すべきだ。
例えば、ダイナミックなスカートのシワが作れないなら、そのモデルを作ることは置いといて、衣類のシワ全般の作り方について試行錯誤した方がいい。なので、モデル作りはダイナミックではないシワだけで出来たものを完成型として打ち切り、シワの作り方について研究した方がいい。そして後日、そのノウハウを過去のモデルに適用すればいい。
つまり、その時点で足りない技術力は、スカルプトしたからといって増えない。

商業モデラーは仕事だと思うのでその辺はご自身で考えてなんとかするしかないですが。趣味ベースの3DCGの話です。念のため。

また、何となくスカルプトするならば、「何となくスカルプト用VDMブラシ」でペタペタした方が、やっぱり早い。何となく用ブラシのバリエーションが増え続けるわけだから。その場合、スカルプト力が全く向上しないにせよ、ブラシによる効率化は進み続ける。で、スカルプト力が付いたら、都度、そのVDMブラシに彫り込みを増やしたり整えたりすれば、「何となく」ブラシが「そこそこ普通」ブラシにアップデートされる。やっぱり無駄にはならない。

苦労して形を作った成果を次に生かすためにも、3つのブラシを使いこなして自身の造形技術をブラシ化して呼び出せる仕組み作りはとても重要だと思うのだ。

今回の創作活動は約2時間30分(累積 約832時間)
(242回目のブログ更新)