3DCGで何をどう作るか考え中

ZbrushとBlenderの使い方、ヒント、コツなど。たまにZbrushプラグイン開発も。

サブスタンスペインターの使い方でオススメな本(2021年版)

(約 5,500文字の記事です。)

作りながら覚える Substance Painterの教科書

サブスタンスペインター(Substance Painter)を初めて使おうと思っている人は、まずは以下で紹介する本を読むことをオススメする。もちろんYouTube動画などをたくさん見てもいいのだが、まずは本で前提知識と基礎知識を一気に詰め込んだ方が効率的だ。その後でバリエーションを増やすためにYouTubeを活用するのがいいだろう。

ちなみに私はサブスタンスペインター初心者であり、Blenderの学習を通じて3DCG関連の基礎知識は普通にある、そんな個人の感想です。

Substance Painterの教科書

ずばりタイトルの通りの本(笑)2021年2月12日に発売され、私は翌日に入手した。現状で、最も効率よくサブスタンスペインターの基本知識と基礎的なワークフローを手に入れられる良書だ。ネット上にある断片的な知識を何十時間もかけて集めるよりも、本書を集中して4時間で通読した方が効率的だった(笑)

そもそもサブスタンスペインター関連の日本語書籍は現状で3冊しかない。その中でもサブスタンスペインター 2020で解説しているので情報の鮮度がいい。BlenderやUE4が対応したことで話題になったUDIMに関する情報もある。

以下、色々と感想を。

他の日本語書籍との比較

「サブスタンスペインターの教科書」は以下の2冊を超える出来だった。



おそらく日本初のサブスタンスペインター解説本。ただしモノクロで見づらい。2016年発売。執筆から5年という情報の古さも気になる。



Substance Painter入門

Substance Painter入門

  • 作者:まーてい
  • 発売日: 2017/11/10
  • メディア: Kindle版

フルカラーではあるがサブスタンスペインターそのものの解説の内容が薄く、いまいちな部分が多かった。2017年発売。



対して「サブスタンスペインターの教科書」のほうは、5人の現役クリエーターによる共同著書であり、入門編、応用編、作例編の3部作で296ページというしっかりとしたボリューム(厚さ2cm、実測値)。もちろんフルカラー印刷で見やすい。ページ数の割合は、入門編と応用編がそれぞれ約4分の1であり、作例編が約半分を占める。

入門編で前提知識を押さえる

入門編はかなり駆け足で、最低限の知識を詰め込む。サブスタンスペインターのUIやサブスタンスペインターでできることをサッと押さえる。感心したのは、サブスタンスペインター特有の分かりにくいところもサッと解説しているところだ。情報の密度が濃い。ネット上で情報収集してもなかなか出てこないような「情報の肝」が、簡潔にさらっと書いてある。かなりエッセンスを凝縮した印象だ。

これはおそらく、入門編で丁寧にやり過ぎると書籍のボリュームが辞書並みになるからだろう。サブスタンスペインターは丁寧に解説すればどんどんとそのボリュームが増える。

「サブスタンスペインターの教科書」の優れた点は、この入門編が単なるUIと機能の解説で終わっていないこと。それをやれば書籍の半分が機能の解説で終わるだろう。だがそうではなく、ゲームクリエーター目線で、実際のワークフローの中ですぐに使う機能と、そもそも知っていなければ工夫のしようがない必須の機能の2点に絞って簡潔に書いている点だ。例えば、

  1. UVを変更したモデルの差し替え方法
  2. レイヤーとマスクの使い方(単なる機能解説ではなくて)
  3. ジェネレーターとフィルタの使い方
  4. IDマップ、アンカーポイントの紹介

これらが既に入門編でざっと紹介されている。これら全ての情報を得るためには、ネット上でかなりの時間をかけて調べないと見つけられないだろう。そしてそれらの具体的な利用方法は応用編と作例編でも登場するので、まずは「何があるか、どんな機能があるか」を一通り紹介するという具合だ。実用レベルでの機能の紹介なので、これらの理解は外せないという項目だとすぐに分かる。こういう情報の取捨選択がなされた状態で、学ぶことに集中できるのが本書の特徴だろう。このスマートさも現役クリエーターならではだろう。

(恐らくは書籍全体のページ数の制約があるだろうから、そのためにかなり文字数=言葉を選んで絞ったという苦労が伺える。書籍全体を通じてよく伝わってくる。)

応用編で2つの作例を深掘りする

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画像はあえて逆のイメージで(笑)

入門編で押さえた全機能を、次に2つの作例を丁寧に解説することで、実際の使い方を憶える。ナイフというハードエッジ、肌の質感がリアルなサイ。それらに汚しやシワの質感表現などを通じて「サブスタンスペインターは質感を表現することが重要」であることをよく教えてくれる。実際にそう見えるかどうかよりも、見せたい表現となるようにするための技が紹介されている。

サイのシワ、日光の下でそんなにしわしわに見えない(きつい陰影は出ない)はずであったとしても、表現したいものが「シワがリアルなサイ」ならば、シワの表現がきちんとできている必要がある。実際の写真のサイよりもAOきつめで仕上げることが正解となる。そういう重要性。

応用編では、より詳細な作業手順に加えて、上記のように「サブスタンスペインターを使う上で表現するための考え方」にも比重が置かれている点が評価ポイントだ。単なる使い方の解説本に留まっていない点が嬉しい。

作例編で幅を広げる

もし作例編を応用編と同じ密度で書いたならば、この書籍は2~3冊構成になったはずだ。それを要点に絞ることで何とか詰め込んだという印象。このレベルで幅を広げるならば、いよいよ各自でYouTube動画などを見て、1つの作例ごとに深く広く押さえるべきだろう。

だがこの作例編のいいところは、各作例で「本当に肝となる部分」に絞って丁寧に解説されている点。紙面の都合上、言葉を絞らざるを得なかったと思うが、その中でも特に「考え方」の紹介が多かった点がとても重要だ。考え方が分かれば、あとはここまでで身に付けた知識を駆使すれば「どうやって何を操作すべきか」は分かる。

ネット上のチュートリアルやYouTube動画では逆に操作手順の解説が多く、「なぜそのようにしたのか」という考え方まで伝えてくれる人はあまりいないので、それだけでもこの本の価値がある。

汚しの入れ方・操作手順は分かるし、汚しのパターンの変化のさせ方も分かる。だが、「なぜそのように汚すのがいいのか」が分からないと汚し方に工夫のしようがなくなる。考え方はとても重要。それがないと応用できない、工夫できない。単なる過去の技術の繰り返しにしかならない。それでは成長できない。

とりあえずこの本を一冊きちんと仕上げれば、サブスタンスペインターでできることはほとんど理解できると感じた。あとはYouTube動画などを見て、1つずつの作例を丁寧に深掘りして操作手順を憶え、表現を深めればいいだろう。そのスタートラインに立つまでの最短経路が、本書にはある。



べた褒めだが、実は悪い部分もある。感想をば。

全体が駆け足なので引っかかる所もある

例えば、Use Cageの説明が、多分ほとんど伝わらない(笑)私は以前にこちらのツイートを眺めていたから理解できたが、初見ではまず「意味不明」なことだろう。

https://twitter.com/FUKU12290574/status/1219632415012020227

(参考)
テクスチャペイントのやり方・作業工程・注意点【Substance Painter】 – 忘却まとめ

全体のテンポが速めなので、このように読者の知識によっては読み進める際に疑問が解けず引っかかる部分もありそうだ。そんな時にはGoogle検索してみればいいだろう。

作例編で利用できないサンプルがある

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MMDでもよくある「色による陰影表現」のテクスチャのキャラクター表現と、市販アルファを使ったランプモデルの2つについてはサンプルデータがない。最初は不満に思った。書籍で出すのだから、きちんと権利関係をクリアにしてから出して欲しい、と。

これはおそらく、前者はオリジナルキャラの用意+テクスチャリングの準備が時間的に難しかったと推察される。それに色による表現なので、サブスタンスペインターというよりもPhotoshopやCLIP STUDIO PAINTによる「お絵描き」の話、せいぜい投影による転写の話になるから、あまりサンプルデータに意味がない点と、過去に著者が手がけた商用作品のうち掲載許諾を得ればすぐに執筆できたであろうという点で、妥協した結果だと、個人的に推測する。(真実は知らないw)

なので、作例編を読めば、ま、サンプルのデジタルデータがなくても理解できるのでよし、とも言える。



次にランプモデルのサンプルデータがない点については、作例ではArtStationで販売されている有料アルファ素材を使って作っているので、デジタルデータが再配布に該当する可能性があるため、やむなくサンプルデータを非公開にした可能性がある。この場合は作例と言うよりも、有料アルファ素材を使って簡単にこういうものが作れるよ、という「ワークフローの紹介」だと考えれば、まぁ妥協できそうだ。



上記2例が気になったものの、そのほかの銃、扉、ロボットの作例には手厚く実践的なノウハウがたくさん詰まっていたので、妥協してもいいレベルかも。

(振り返ってみれば、ま、デジタルなサンプルデータがなくても理解できたからよしとするw)

欠点らしい欠点と言えばそれくらいだろう。

【まとめ】サブスタンスペインターを学ぶならこれを読んだ方が「早い」

書籍全体としてはかなり完成度が高いと感じる。サブスタンスペインターを使う上での前提知識を一気に詰め込むことができる。ウェブサイトやYouTube動画で右往左往する必要はない。この一冊を終えて消化しきってからYouTubeなどで作例をトレースする方が遥かに実力を高めやすいだろう。時間効率はかなりいい。

もし初めてサブスタンスペインターを使ってみようと思うならば、迷わず買って読むべきだ。私としては丁度サブスタンスペインターの超基本的なことを学んだ後だったので、本書の入門編でかなり省略されていた部分をさらっと理解できたことも大きい。

逆に「超入門編」に相当する記事はこちらをご覧下さい。

Zbrushユーザーのためのサブスタンスペインターの使い方|大和 司 2nd|note

そして超入門編までで知らなかった「サブスタンスペインターでの前提知識」の部分を本書の入門編で補充できたので、とても役に立った。

買ってよかった一冊。オススメです。





今回の創作活動は約3時間30分(累積 約2,261時間)
(692回目のブログ更新)

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