3DCGで何をどう作るか考え中

ZbrushとBlenderの使い方、ヒント、コツなど。たまにZbrushプラグイン開発も。

BlenderとZbrush、ハイポリとローポリ、Clothブラシの可能性

(約 4,100文字の記事です。)
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扱うポリゴン数によってどっちでやるべきかが決まると思う。

久々にZbrushとBlenderとを往復しながら思ったこと

両者の特性は違う。得意・不得意が綺麗に逆転している。もちろんどちらでもできる作業もある。
感じたことの結論。それは、ずばり、扱うポリゴン数で決まる、と。

Zbrushはハイポリ至上主義

理由は簡単で、ローポリ、ミドルポリならばどんなソフトでも扱える。多少の効率の違いはあれど、扱えるのだ。

ところが200万ポリを超えるハイポリになってくると話が違う。DCCツールでは扱えなくなってくる。ところがZbrushは楽勝で扱えるのだ。Zbrushはハイポリに異常に強い。それがZbrushのメリットでもある。だから粘土のように扱える。

で、もちろんそのデメリットもある。それは、デジタルツールを使いながらアナログ作業になってしまうことだ。アナログ作業なので、効率化が難しい。スカルプトに時間がかかるのはずばりアナログ作業を行っているからだ。手と粘土の作業が、ペンタブとPCになった。だが一次元少ない分だけ手間だ。だからスカルプトはアナログ作業よりも手間がかかる、ということになる。ゆえに時間が吸い取られる。

私がZbrushで効率化について言及しているのは、PC作業なんだから本当のアナログ作業よりはいくらかデジタルのメリットを生かして効率化できる部分があるはずだから、それを生かしてなるべく効率よく作業できるはずだ、ということを言いたいからだ。効率がよくて困る人はいないはずだ。

ローポリはトポロジが重要になる

Blenderはローポリに強い。ローポリで重要なのはトポロジだ。形を変形させるにしてもトポロジ変更が必要で、それを効率的に変更することが肝になる。例外としてはブーリアン結合だろうが、そうそう毎回ブーリアン結合もしてられない。トポロジベースで特定の面を指定して引き出したり凹ましたりする造形が多いだろう。

ローポリ操作とトポロジ変更操作はワンセットだ。これはBlenderが強い。Zbrushではちょっと弱い。もちろんZModelerでもできないことはないが、Blenderと比べると効率がかなり落ちる。

Blenderは2.79系まではクセがありすぎたが2.8から普通に使えるようになった。今ではGSRキーによる操作がとても洗練されているアクセス方法だと感じる。加えて常時表示のギズモでも操作できるわけだから、一気にポリゴンの操作方法の幅が広がった。普通のソフトは大抵はギズモベースだからだ。なのでBlenderはGSRキーの快適操作が結構効率につながっている。

中間のミドルポリならばどちらでもいいけれど

ミドルポリとは私の造語で、ハイポリとローポリの間の程よいポリゴン密度。
中間のミドルポリならばどちらでも扱える。だがここで決定的な両者の違いがある。

Blenderではリグ入れ、PBRマテリアルノードの設定など、モデリング要素以外もメッシュに関連づけて作業ができる。対してZbrushはモデリングツールなので、基本的にはZbrush内での処理限定で、マテリアル指定などができる。レンダリングもZbrush内で済ませるならばそれでもいいが、外部に持ち出すことはできない。

対してBlenderはDCCツールらしくリグ入れ・マテリアル設定・テクスチャ作成(簡易的なもの)もできる。そして作業のいつでも自由にそれらにアプローチできる。これが決定的に違う。

WIP(途中経過の公開)での品質が段違い

WIP, Work In Progressの略で、要するに作業途中の公開を意味する。製作途中のスクショなどの公開だ。Zbrushならば文字通りスクショくらいしか出せない。だがBlenderでのWIPならば、ちょっとした手間だけでもマテリアル適用状態でCyclesでのレンダリング結果が手に入る。光源をちょっと調整するだけで割と見栄えのする絵になる。スクショとは違って、あくまでもレンダリング結果になる。WIPの表現力が大きく異なる。

ただし、もちろん制作物がハイポリならばZbrush一択だ。これは間違いない。

ミドルポリをどう考えるか

だがミドルポリ未満となるとBlenderに歩がある気がする。操作の効率性とWIPの作りやすさ。
また、最終仕上げがハイポリになるとしても作業途中まではミドルポリまでならば、例えばリグ入れキャラでのポージング設定の煮詰めなどではこれまたBlenderに歩がある。髪の設定などもローポリベースならば、Zbrush上で操作するよりもBlender上の方がやり直しがしやすい分だけ有利かも知れない。

特にカーブブラシ。またロン毛ならば髪メッシュ+ボーンなどの選択肢もある。カーブブラシと違って途中のメッシュのボリューム感をボーンで制御すると膨らますのも痩せさせるのも簡単な上に試行錯誤しやすい。

Blender 2.83で実装予定のClothブラシが転換点

Blenderでは5月公開予定の2.83でClothブラシが実装予定だ。これは強力な武器になる。2.83がBlenderの転換点になると予想している。Clothブラシで誰でも簡単に服のシワをスカルプトできるようになる。これはZbrushでは難しい。誰でも簡単にってのは無理で、作り手のスカルプト力の実力が要求される。Zbrushでも作れるだろうが、実力が要求される分、綺麗に見栄えよく作ることが「難しい」という意味ね。

だがClothブラシのデモムービーを見る限り、誰でも直感的に衣類のシワを作れるようになると感じた。これは驚異だ。デジタルではこういうパラダイムシフトが起こりえる。これまで職人技術だった造形が、ある日を境に簡単なツールで実現されるようになるというのはデジタルの怖いところだ。

Clothブラシにはそのポテンシャルがある。

Blender上でミドルポリまででClothブラシで大方の形を作り、Zbrushに持って行ってディバイドを2,3回かけてハイポリにし、細部を作り込む、というワークフローは普通に有り得る。問題はZbrushユーザーがBlenderを扱えるかどうか、その努力をしてきたかどうか、この一点だけだが、そのメリットは十分にあると思っている。Clothブラシの使い方などはちょっと練習すれば身に付きそうだ。それくらい簡単に直感的にムービーではシワを作っているのが見て取れる。

私はBlenderメインの造形になるかも知れない

理由はいくつかある。フィギュア造形をしているわけではないのでハイポリにこだわる必要がない点。

リグ入れによるポーズ変更の効率に注目しているため。人体構造はとっくに決まっているものだから、リグ入れキャラのポージングによって沢山のシーンを作ることは効率的だと思うから。マスクとギズモ変形はかなり非効率だと分かっているから。ポーズ確定後に関節部分の表現についてスカルプトすればそれで十分だと思っている。

WIPの作りやすさと質の高さ。光源と背景紙を非表示から表示に戻し、位置を調整し、1分ほど待てばCyclesの綺麗なWIP画像が得られる。これは細く長く活動する上で重要。ただの粘土画像よりも見栄えする上に、マテリアル適用後のイメージも自分で確認できるから一石二鳥。

ZbrushとはGoBで往復できるけれどリセットされる項目もある。それを避けるためにはZbrush→Blenderの一方通行にするしかない。そうなるとZbrushでやれることに制限がかかる。必然的にBlender上での作業時間が増える。つまり、Blenderでの作業に慣れた方が効率化につながりやすい。結果、Zbrushでの作業は減る。

最終仕上げにZbrushに戻して細部を仕上げるというワークフローも有り得るが、Clothブラシの登場を考えると、最後の方までBlenderで作業した方が効率的とも思える。

UE4への連携もBlenderからならできるが、Zbrushから直接的にUE4には持って行けない。Blender経由なら割と簡単。ではBlenderで作業を進められればもっと効率的だよね、ということになる。

以上の理由で、Blenderメインのワークフローになるかも知れない。

なんだかんだで便利になってきているBlender

しかも無料。勉強しない理由はない。使いこなせるメリットしかない。ZbrushとBlenderは相反するものではなく、互いの弱点を補い合えるいいツールだと思う。ハイポリを除けばBlenderが有利だが、逆にハイポリ依存ならばZbrushは外せない。だが製作途中のミドルポリまででBlenderが活躍できるシーンはかなり多い。メカものやハードサーフェスでも活躍するだろう。両者のいいとこ取りをすればいいのだ。Zbrushだけ、Blenderだけにこだわる必要はない。

両者は特性が異なる。モデリング専門とDCCツールだから。そもそも対決する必要はないし、得意分野を利用し合えばそれでいい。あとはユーザーのニーズによってどっちが主力になるかが変わるだけだ。便利な分野で便利に使えばそれでいいと思う。

というわけでBlenderで色々やるための設定周りをカスタム中なのです。。。



今回の創作活動は約45分(累積 約1,462時間)
(521回目のブログ更新)