(約 4,400文字の記事です。)
Zbrush 2021.6の新機能に関するYouTubeビデオが公開された。この記事はそれを見た感想。1時間46分も英語のビデオを見ていられないよ!という人のための斜め読み記事です。この記事を一読してから公式ビデオを見れば、英語や細かい事が分からなくても大体はわかるかと思います。
対象読者は、Zbrush初心者、中級者です。
更新履歴
2021/02/25 公開。
AO表示に関する改良
アンビエントオクルージョン表示の改良。部分表示などが可能になったみたい。
AOって何?
簡単に言うと、影の中にも濃淡が生まれる。この濃淡を作り出す仕組みをAOと思っておけばいい。光源が複数あったり、光源の強さに応じて影の輪郭がぼやけたりくっきりしたりする変化がある。
何ができるの?
なんだか陰影表示がさらによくなったり便利に切り替えられるようになったらしい。部分表示、部分的な色変えなどができるようになるらしい。
まとめ
ZbrushでスカルプトしやすくするためにAO表示に依存している人には何かしらの応用ができそうだ。AOが入ってくる前のZbrushバージョンで普通に使えている人にはあまり魅力的には見えない新機能だろう。
カーブアルファ
あの赤と黒の点線でできたカーブでメッシュを作る機能に新機能が追加された。
何ができるの?
アルファの形状でカーブメッシュを作成できるようになる。例えて言うならば、マヨネーズの赤いキャップが付いたままだと5mmくらいの円柱のマヨネーズラインを作り出せるし、赤いキャップを外すと断面が星形のマヨネーズラインが作れるようになるのと一緒。
カーブを引く前に断面形状を星形のアルファに指定すれば、星形マヨの細長いメッシュができるってことだ。
またビデオの中ではアースクエイクキャラのシルエットからアルファを作って、その断面を使ったカーブメッシュを作成する例を紹介している。マヨのキャップの断面がアースクエイクになったバージョンだね。
他にも、マヨのキャップでは作れないが、マカロニのような、肉厚のある中空なチューブ状のカーブメッシュも作れる。利便性は謎だが、確かにこれまではZbrushでは作りにくい形状だ。これを今回克服してきたわけだ。
まとめ
Zbrushオンリーの造形でカーブラインを使う人にとっては応用範囲が広い。
一方でBlender+カーブオブジェクトを使っていたり、細長いメッシュ+細かいボーン+自動ウェイトで形を作る人にとっては、ほとんど魅力的でない。ようやくできるようになったのね、という程度。
個人的には、Zbrushのカーブは後からの編集(形状変更)に絶望的に弱いので、ほとんど使っていない。なので、あまり魅力を感じない。
メッシュバルーン
マスクで描いた図形がそのまま立体メッシュになる機能。
何ができるの?
無からメッシュを作成できるようになった。空の領域にマスク形状を作り出せばそこに立体メッシュが生成される。同一サブツール内に新規ポリグループのメッシュが生成されるようだ。
今までZbrushでは「無からメッシュを作る」ことがとても苦手だった。だから使いにくいZスフィアなどを使った例がよく見られるのだが、ハッキリ言って使いにくかった(笑)
Blenderでは簡単に作れるのに……。
だが今回、メッシュバルーンによってベースメッシュをより簡単に作れるようになった。Zbrushオンリーのユーザーでも、ついにZスフィアを使わずにベースメッシュを作れるようになる。
厚みのあるシップを体表面に簡単に作れる
怪我したときに張るあのシップ、あれの厚さ1cm版のような造形を簡単に作れる。ベースとなるメッシュの表面にピタリと張り付き、簡単に均一な厚みのあるメッシュを作れる。これは従来は「一度IMブラシに登録してから」ならばできたが、形状は固定的となる。今回はそれをもっと簡単かつ自由な形状で作れるようになる。
同様の手法で簡単にブーリアン結合、ブーリアンカットなどができる例が紹介されている。
これは造形の自由度が上がるかも知れない。
アルファから簡単に厚みのあるメッシュが作れる
アルファの形状+押し出しが簡単にできるようだ。新規のメッシュ島になるようなので、やはり新規のベースメッシュを作る上で役に立つだろう。
まとめ
無からメッシュを作る手段が2つ増えた。一つは描いたマスクから立体化。もう一つは既存のベースメッシュ上に均一な厚みのある新規メッシュ島の立体化。どちらも簡単に思い通りのベースメッシュが作れるので、Zスフィアなどに依存しない方法でベースメッシュを作り出せるようになるはずだ。
懸念事項
ビデオを見る限り、描く図形はハードエッジな四角形でも、出来上がるメッシュは角丸な図形なのだ。もしかしたらハードエッジ系モデリングには使えないかも知れない。
もっとも、できてくるトポロジがハイポリメッシュならばどのみち使いづらい。板ポリをシュリンクラップやProjectAllしてから厚み付けする従来手法でも事足りる可能性も。
スネークカーブブラシ
赤と黒のカーブラインを引いた後に、それを既存メッシュから引き出して造形できる。スネークフックブラシは断面が円だったが、このブラシでは断面を「カーブラインの形」のまま引き出せる。
何ができるの?
簡単に言うと、球体にニコちゃんマークの口をカーブラインで描いて、手前に引き出すと、流しそうめん用の竹筒メッシュがが球体から生えるわけだ(笑)
引き出す方向も直線だけじゃなくて円弧にできたりするようだ。
カーブラインがベースとなるので、Zbrushでは苦手な「肉薄な立体メッシュ」も簡単に作れる。ビデオではシャチのひれなどの例が出てくる。Zbrushでは有機的な丸っこい形は得意だが肉薄なメッシュは苦手だ。ビールのつまみの枝豆は簡単にスカルプトできるが、サヤエンドウはなかなか作りにくい。
スカルプトリスプロモードが前提か
複雑な形を作れる反面、メッシュのトポロジにはかなりの負担がかかるみたいで、ビデオもスカルプトリスプロモードでの実演だ。ラフモデリングの段階で複雑な形状のクリーチャーを作るのに便利だろうが、トポロジをキープしたままの使い方は難しいかも知れない。使い所が難しいかも知れない。
まとめ
- AOの表示をちょっと変えられるらしい
- カーブメッシュの断面を簡単に指定できるようになった
- マスクブラシで作った輪郭を簡単にメッシュ化できるようになった
- スネークカーブブラシで肉薄なメッシュを作りやすくなった
全体的な感想
Zbrushのみのモデリングでできることが増えたという印象。Zbrushオンリーのユーザーにとっては、今まで苦労してやっていたことが少し楽にできるようになるだろう。
ただし、依然としてハイポリ前提のモデリングであるため(そりゃそうだ、それがZbrushの強みだから)、Zbrush+Blenderによる合わせ技を使える人にとっては、あまり魅力的な機能は追加されていないようだ。
バグがちょっと心配
マイナーアップデートでこれだけ機能を詰め込んでくると、正直言って、内在バグが怖い(笑)特にブーリアン結合系の新機能が追加されているので、従来の機能に悪影響が出るバグが出てこないか気になる。怖い人は少し様子見をして、(おそらく出てくるであろう)2021.6.1を待った方がいいかもしれない。
Zbrush 2021.6は3月初旬には利用可能になる模様。
これ以上の情報は、実際にリリースされた後に触ってみないとなんとも言えない。
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今回の創作活動は約1時間30分(累積 約2,289時間)
(701回目のブログ更新)
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