3DCGで何をどう作るか考え中

ZbrushとBlenderの使い方、ヒント、コツなど。たまにZbrushプラグイン開発も。

シワのスカルプトは極める必要はないかも知れない

(約 3,900文字の記事です。)
シワの本を一通り読み終えた。ダテナオト本である。

わかったような、わからないような。シワのでき方の基本原理は理解できた。だがそこから即スカルプトにつながるかと言われると難しい。だが同時に、もしかしたら造形としてのシワの作り方は極めなくてもいい可能性も見えてきた。

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何かもう少し基本原理が欠けている気がする

シワの出来方の基本原理がわかったあとは、ひたすらに観察と理解だ。ただ、この本での基本原理の解説は、まだ不十分だと感じる。あと一歩踏み込めていない。現実の写真とシワとの関係をもっと普遍的に解説できるエッセンスがいくつか足りないと感じた。

それが何なのかはまだ自分でもわかっていないが、直感では2〜3個くらいの基本的な考え方・原理を導入できれば曇りが晴れる気がしている。これについてはもう少し自分でも深堀してみる予定。それさえ押さえられれば、あとは現実の写真の観察と原理から導かれるシワの造形の実践とを繰り返して自由にシワを作っていけることになる。だが今はまだあと一歩、何かが足りない。

シワのランダム性と「適当に作った」とは限りなくイコール?

シワのでき方は結局ランダムなものであり、現実の衣装で複数回試したとしても同じシワになるとは限らない。数学のような絶対的な答えがない。なのである程度は想像力で作っても問題ないだろう。感覚勝負でいいだろう。あとは試行錯誤ありきだ。イメージして、シワを作って、消してを繰り返してしっくりくる手法・ルーチンワークを模索するしかない。

そして、迷ったらやはりファッションカタログなどを眺めて現実のシワをよく観察するしかない。

最終的に「違和感を感じないでそれっぽいシワ」になっていれば全て正解なのだ。正解は一つじゃない。


ここで立ち止まって考える。そこまでリアルなシワのでき方の観察と再現に価値はあるのか?という疑問。

二次創作のフィギュア造形ならばシワの形は既に資料にあるじゃない?

一次創作者のイラストにすでに自然なシワがある。なのでゼロからシワを作れる実力は、もしかしたら不要かもしれない。その点ではゼロからシワを作れるトレーニングは少し遠回りかもしれない。原型師のオリジナリティではなくてあくまでも一次創作の忠実な立体化が求められている場合ならば、深く考えずにできるだけ忠実に立体起こしすればいいことになる。なので一次創作時点でのシワのでき方に別の視点の解釈を与えない方がいい場合もありそうだ。

だが、立体造形には裏側や側面もある。イラストはもしかしたら正面からの絵しかないかもしれない。イラストになっていない所も立体化しなければならない以上、もしかしたらシワの造形知識や試行錯誤が何かの役に立つのかもしれない。試料にはない部分は作って立体化するしかないので、その場合にはより自然に作れる実力はアピールできるかも知れない。

ありゃ?ということは、やはり損ではないな(笑)

二次創作ならば一次創作との関係性が重要かも

  1. 一次創作のシワなどを忠実に立体化する手法
  2. 一次創作のシワなどの情報を考慮しつつも、よりダイナミックな表現のためにシワの造形を新たにクリエイトする手法

この2つが考えられる。これは最終的に立体作品を欲する人のニーズをどう満たすかとの関わりがあるのでどちらがいいとは一概には言えない。二次創作の製作者のオリジナリティよりも一次創作の忠実な立体起こしが望まれているかも知れない。

逆に二次創作の造形であっても、一次創作の結果から読み取れる多くの情報を加味してよりリアルな、よりリッチな表現が喜ばれるかも知れない。一次創作を超えてくる二次創作だ。依頼主や顧客が結果をどう捉えるかに関わるだろうが、こればかりは状況次第だろう。一次創作に加えた改変が吉と出るか凶と出るか。難しい。

美味しんぼの究極 VS 至高の料理対決に似ているかも知れない。例えば、レシピを守りつつ最高の素材で高みを目指す手法と、レシピに更にアレンジを加えて新たな価値を生み出す手法、というような。山岡士郎 VS 海原雄山 的な(笑)どっちがどっちかは各話で入れ替わります。

美味しんぼ

美味しんぼ

  • メディア: Prime Video

ただ、完成形としての表現力や迫力が出るのはどちらだろうか、ということは考える価値がありそうだ。一次創作の忠実な立体化を目指すのか、一次創作を上回る立体表現を目指すのかの違いになるかも知れない。

最終出力を意識する

3Dプリント時にきちんと再現される解像度か?デジタルなのでいくらでも緻密に作れるが、最終出力した物体でそれを正しく再現できるのか?潰れて見えないならば逆に敢えてツルンと作ったほうが仕上がりがいい可能性もある。アウトプットの解像度を考えることも必要だ。デジタルオンリーの出力ならばお好みで。

またリグ入れアニメーション前提のキャラならばノーマルマップとしてテクスチャにベイクされる前提なので、どんなポーズでもそこそこ自然に見えるシワでいいことになる。つまり最初から妥協ありきなので、シワのリアリティにこだわる意味がかなり薄いことになる=ほどほどのシワでいいことが前提となっている。


ここまでの考察をまとめると、どうやら、

リアルの追求でなくてもいい=記号としてのシワでいい

ダテナオト本を読んでいると結構な頻度で、写真とは違うシワの入れ方をしている部分がある。写真と見比べてみても写真ではそんなシワになっていない。これは記号としてのシワ、線画としてそれっぽい表現をするためのシワだからだ。だが立体造形でそれはスカルプトできない場合もあり、あくまでも凸と凹の表現でなければならない。

また立体表現なので、影の付け方などの章は流し読みでOKだ。光源も自分で自由に位置設定できるしシェーダーが計算して影を落としくれる。だから一番重要なのはやはりシワの立体形状なのだ。実際のシワから、必要なシワ以外をつるつるにして省略するのはアリだ。うるさすぎるシワは不自然だからだ。となるとやはり、基本は自然にできるシワの理解と再現が必要になる。

現実のシワをリアルにスカルプトしても、多分シワがうるさいだけになる可能性がある。衣類のシワは、シワを作ることそれ自体が目的ではなくて、衣類の厚さ、柔らかさ、迫力それらを表現する手段であるのだ。シワは像全体に対する衣類の存在感や説得力を演出するための手段に過ぎない。

シワ作りを目的にしないことだ。これには注意したい。リアルなシワよりも説得力のあるシワが望ましい場合もあるだろう。そのためには敢えて細かいシワの表現を消すのもアリだろう。

結局は何を表現したいかが全てだ。不要な表現はばっさり削るのも有効だ。創作物は演出の成果とも言える。

デフォルメ具合とも関わる

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シワなどみじんもない(笑)懐かしいFusion 360での造形(化石)

リアル系とは違ってねんどろいどなどのようなデフォルメ表現でもまたシワの表現が変わってくるだろう。ただ、必要最低限のメインの大きなシワくらいは自然にスカルプトできたほうが衣類の説得力が増すことは間違いない。手癖で作る適当な凸凹よりも、衣類としての自然な凸凹のほうがいいだろう。

難易度の高い作業であることは間違いない

シワをスカルプトするのは、実は結構深い課題なのかもしれない。これは日々のトレーニングとして地金を磨く必要がありそうだ。ただ、これだけやっていても造形としての完成には至らないことは明白。そしてすぐに衣装一つを作れるようになれるとは全く思えない。加えてZbrushやBlenderなどの布ブラシの使い方やパラメーター設定の追い込みなど、デジタル特有の課題も多い。

普段の造形とは別枠でコツコツと試行錯誤しておくのが良さそうだ。基礎トレーニングとしてコツコツ鍛えるのがよさそう。


いったん座学は終了だ。これ以降は実際にスカルプトしてシワを作って観察と修正とを繰り返しながらノウハウを溜める以外に前に進めない。頭でっかちになるだけだ。というわけでシワの科学の座学はいったん終了です。


今回の創作活動は約3時間30分(累積 約1,872時間)
(610回目のブログ更新)

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