3DCGで何をどう作るか考え中

ZbrushとBlenderの使い方、ヒント、コツなど。たまにZbrushプラグイン開発も。

サブスタンス3Dペインターのテクスチャ投影機能の強化

(約 6,100文字の記事です。)

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サブスタンス3DペインターのVer. 7.3が公開された。以前にデカールと呼ばれていた機能がワープ投影(ワーププロジェクション、Warp Projection)機能になって新登場。

新機能は公式サイトではサクッと紹介されているが、実はこの機能、だいぶ便利な強力機能なのだ。

対象読者はサブスタンス3Dペインターユーザー

公式情報まとめ

まずは公式サイトへのリンクなどをここにまとめておく。詳細情報は各自でそちらから確認すべし。

発表情報(ただし日本語サイトには存在せず、USサイトにはある。)

Warp mode enters the new Substance 3D Painter

更新内容の詳細(チュートリアル内記載)

Version 7.3 | Substance 3D Painter

アドビになったからか、チュートリアルの英語表現がフォーマルになったせいかGoogle翻訳での日本語化の具合がいい。英語ができない人でもブラウザ上で日本語化すれば9割理解できると思う。

あと、基本的には最新情報は「常に英語でのみ」提供され、日本語ローカライズが出てくるのは稀。なので英語で理解するかGoogle翻訳を活用しないと最新情報を理解できないだろう。

ではさっそくだが目玉機能のラップ投影の話に入ろう。

テクスチャをいつでも可逆にラティス変形する機能!

概念としては板ポリテクスチャをラティス変形でいつでも可逆編集するという具合。それのテクスチャ版。

以前にデカールと呼ばれていた機能が大きく変わった。既存の画像などをシールのようにぺたりと貼り付ける投影機能ね。これがワープ投影(Warp Projection)機能になって新登場、という具合。

テクスチャは板ポリと考えることができる。絵の綺麗さは解像度に依存するが、それでも四角形の板ポリ上の平面表現と考えることができる。これをVer.7.3ではサブスタンス3Dペインター上で「マス目状にテクスチャを分解」して、ラティス変形(Zbrushではソフトデフォーマ変形かな)させると、リアルタイムでターゲットにテクスチャを投影させつつ、テクスチャの絵自体もラティス変形で滑らかに変形するという機能だ。

話すと長いが、絵で見れば分かりやすいだろう。例えばこれはノーマルマップ用をメインとした川の字の形だが、ここでは見た目通り「紫色の絵」だと思って欲しい。色が何を意味するかは今は考えずにOK。

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で、この川の字、絵を修正しないでサブペ上で「温泉マーク」の川の字にしてみた。

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もちろん波線化してもきちんとオブジェクト表面に投影されている。

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しかもこの投影はBlenderのモディファイアと同じ感じで、いつでも何度でもやり直しができる。だから、例えばネームタグや兵器の型番などの差し替えが簡単だ。Photoshopみたいにレイヤー構造もあるので差し替えの影響の制御も簡単。

公式サイトのデモでは人の顔のスキンを貼る様子を例に挙げているが、実用的にはもう少し起伏が緩いオブジェクトでも、投影した結果の歪みをユーザーが目あわせで微調整するのに役に立ちそうだと感じる。あくまでも微調整ができるってだけであって、あまりにも大がかりな修正ならば、残念ながら元絵を替える方が早そうだ。

そのほか気がついた事など。

グリッド数の変更は「頂点の初期位置」でのみ可能

頂点をいじってグリッドをゆがめるなどの操作をするとそれ以後にグリッド数を変更できなくなる。グレーアウトする。

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全ての頂点を初期化するか、または操作済み頂点を選択してその位置を初期化すれば再び白文字に戻って変更可能となる。

実はグリッド数は5以上にもできるけれど

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Rowsの数字をクリックして「10、Enter」すると、実は5以上の分割も可能だ。ただし数値によっては動作が極端に重くなるので、その辺はPCスペックと相談しながらグリッド数を決めるしかない。

投影の深さを変える

画面上のメニューにもそれらしい項目はない。Ctrlキーを押しっぱなしのポップアップヘルプにも見当たらない。

結局、別のエリアのプロパティ項目にDepth(深さ)の項目がありました。これを移動させるとリアルタイムで深さが変わる。投影の影響を受ける深さが変わるわけだ。

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詳しい情報は公式サイトを読め!

丸投げで申し訳ないが、公式サイトのドキュメントは驚くほど丁寧に今回の機能の特徴と使い方を分かりやすく解説している。GIFアニメーションもあるので理解しやすいだろう。

Version 7.3 | Substance 3D Painter

Depthの調整についても丁寧に専用ページまで別に設けて解説しているくらいだし。やはりチュートリアルの丁寧さがアドビの強みだと思う。

ただ、いつも思うのだが、どうしてサブスタンス3DペインターのUIのフォントの大きさは2K Full HD画面ですら米粒大なのだろうか?見づらくてしょうがない。フォントサイズの調整オプションを実装して欲しい。絶対に要望として上がっているよなぁ。そんなに難しいことじゃない気がするのだが……。4K画面の人が苦しんでいるらしい。

ラップ投影のポテンシャルの高さ

テクスチャの自由変形がサブスタンス3Dペインター上でできるようになったのはとても便利だ。簡単な位置合わせに最適。紙粘土細工を作るとして、今思いつくアイディアとしては、キャラ物の目などを正投影でCLIP STUDIO PAINTなどで描いたとして、次にキャラの目の位置に貼り付けてからラティス変形(ソフトデフォーマ変形)させてバランスを整える、という作戦ができそうだ。そうなると、

  1. クリスタ上での理想的な形をお絵描きし
  2. サブペ上で3Dオブジェクト上での見え方を360度眺め回しながら目のテクスチャを自由変形で整える
  3. 整えきれなければ限界ぎりぎりまで変形させた形状をベースにしてUVマップに再度エクスポートしてから再度絵を描き直す、など

Ver.7.3のこの機能なしで1と3の往復は結構キツい。3Dオブジェクトでの見え方とUVマップ上の見え方の違いは、人が脳内変換するのはかなりの難易度だからだ。なぜならばUV島の形状の影響と、テクセル表現(絵で表現されている形そのもの)による2つの影響があるので、UVマップのテクスチャ絵が、実際の3D上でどう見えるのかが分からない。つまりUVマップのみで正しい見栄えに修正することが極めて困難だ。だから1と3の繰り返しでにじり寄ることになるが、超絶効率が悪い。(やってみればわかるw)

例えばいくらポリ割りが正方形状であっても、それによって作られる「形状」の起伏が激しければ、UVマップの見え方と実際の3Dビューの印象はイコールになりにくい。逆にポリ割りがいびつでも真っ平らならばUVマップの見え方=3Dビューの印象になる。つまりは両者のいずれであっても3Dビューでしか確認できないってこと。UVマップの見え方は、何のヒントにも手がかりにもならないのだ。そこから推し量れる物は少ない。頑張るだけ無駄だろう。人の脳内でテクセルを座標変換して脳内でレンダリングしてイメージできるはずもなく。私には無理だ……。

だが今回のこの機能では、立体オブジェクトでの見え方と、(各UV島に対する相対的な)テクセル位置の調整、の2つをリアルタイムで調整できるので、ユーザーはUV島の形状を気にしなくていい(知る必要すらない)。テクセルは常に立体オブジェクト上に反映されているので、見たまま編集すればいずれ理想の形に近づく。作業が効率的。

ただしこの機能で修正できるのはラティス変形で対応できる範囲と同じなので、細かすぎる調整は難しい。全体的に大きく変形させるのが得意だ。あるいはごく一部をピンポイントで変形させるのもできる。だが全体的に細かく調整はできない。使ってみればすぐに分かる。

あとポリゴンの扱いの一般論になるが、ポリ割りが増えるほど各頂点の調整ができると同時に手数も増える。要するに調整する量が増えていく。この辺も板ポリのラティス変形の苦労や注意点と同じ。

とはいえ、まとめると、サブスタンス3Dペインターはラップ投影機能によってかなり高機能になったと思っている。投影機能自体はレガシーだが、それを軸として「ソフトとして使いやすく仕上げてきた点」が評価できる。

普通に触って普通に使えるってのが理想。ソフトウェアはかくあるべし!

ラップ投影機能はよい機能です。

その他の更新機能の紹介

公式サイトをざっと見れば分かるので簡単に書く。

  1. 円筒形のラップ投影しやすい専用機能も搭載
  2. ライブラリからテクスチャをD&Dした挙動を分かりやすくした(小窓ポップアップから選択)
  3. ワープ投影機能に合わせてALT+ドラッグ操作の機能の廃止?(ただしポップアップヘルプは従来のまま、消し忘れ?)
  4. カラーピッカーが使いやすくなったようだ
  5. モニタ上のあらゆる色を採取できるようになった
  6. カラーピッカーに簡易的に色の保存機能が追加
  7. ソースコードの改良により動作が軽くなった部分もある
  8. バグ修正

その他の感想

今のサブスタンス3Dペインターの弱点を見事に補ってきたと感じる。後はブラシ主体のお絵描き機能が強化されれば文句なしだ。その代替案として、サブスタンス3Dペインター上で絵を描くのではなくてお絵かきソフトで絵を描いてからラップ投影で形状の歪みの微調整、というワークフローが使えるようになった。お絵描きツールに習熟した表現の精細さを生かしつつ3Dオブジェクト上での歪みの微調整ができることはとても効率的だ。

手法的には従来のデカール機能と同じだが、使い方が単なるシールの貼り付けとはまた違った使い方が出てきた。恐らくは今後、ラップ投影の手法がメジャーに成り、その中の言手機能としてレガシーな機能としてデカール機能が語られる気がする。ま、高機能で便利な機能が主体になるのは当たり前のことだから、それらを使って便利に作業できるならばそれがいい。こだわる必要はない。

個人的にもデカール機能は「いまいち」使いにくいなぁ、と思っていたが、ラップ投影でかなり直感的に使えるようになった。微調整の数が増えればプチプチとギズモ操作やツール切替え操作がチリツモでキツくなってくるが、その恩恵は大きい。ホットキーを多用すればサクサクできるのかも知れない。(そもそもホットキー化されているかまだ確認していないけれど……。)

(おまけ)3DCoatにも傾いたが戻ってきた

ちょっと前に、3DCoat Textraというソフトも出ていて、どちらもBPRテクスチャを作成するソフトだ。だが以前のこの記事にもあるように、

サブスタンスペインターを買う前に考えてほしい。購入方法は重要(2021年1月版) - 3DCGで何をどう作るか考え中

ソフトが欲しいのか、アセットが欲しいのか?を考えたときに、アセットの充実さを考えてサブスタンス3Dペインターを選んだわけだし、ということで浮気せずにサブスタンス3Dペインターで行こうと思っていたが、今回の機能追加で、「いやいや、ソフト自体も魅力的になったぞ!」と思った。

なので、あとはサブスタンス3Dペインターで直接ブラシ主体のお絵描き的な塗りが快適にできるようになれば、3DCoat Textraと悩むことはなくなるだろう、と思っている。今はまだテクスチャソフトを2つも使う気になれない。どちらか一つでと言うことならば、まずはサブスタンス3Dペインターを使いたい。





今回の創作活動は約4時間30分(累積 約2,562時間)
(755回目のブログ更新)

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