3DCGで何をどう作るか考え中

ZbrushとBlenderの使い方、ヒント、コツなど。たまにZbrushプラグイン開発も。

サブスタンスペインターとディスプレイスメントマップとフィギュア造形の可能性

(約 4,600文字の記事です。)

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今、サブスタンスペインター(Substance Painter)を学んでいる。本当に基本的なところからコツコツやっている。主にお絵描きしたい人のための視点で記事も書き始めている。

Zbrushユーザーのためのサブスタンスペインターの使い方|大和 司 2nd|note

今回はその中でも「ディスプレイスメントマップ(Displacement map)」とサブスタンスペインターと立体造形の今後の可能性について考えてみたい。

サブスタンスペインターはリアル

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知っている人にとっては当たり前かも知れない。簡単にリアルな汚し、傷が作れる。ビックリするくらいに、簡単だ。あとはその合成方法を身に付ければいい。でも多分これはサブスタンスペインター使いには当たり前のことだ。そしてあなたも実際に使ってみれば「見栄えと労力のバランス」をすぐに見抜けることだろう。あるいは過度にやり過ぎてぱっと見何も伝わらない、という落ちにハマった結果なども、分かるようになるだろう。

見た目のフェイク「ノーマルマップ」

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UE4のマテリアルのサンプルを眺めた結果 - 3DCGで何をどう作るか考え中

ノーマルマップはご存じ、陰影による立体物のフェイク表現だ。だから斜めから見ると真っ平らなのだ。だが、輪郭を意識してみない限り、浅い角度から見れば立体に見える。これがノーマルマップの力だ。メッシュの頂点数は少なくても、リッチな立体表現に見えるのだ。テクスチャの力だ。

立体を陰影で疑似的に表現するのがノーマルマップであるのに対して、実は逆に「陰影情報から立体のメッシュにする方法」もある。

ディスプレイスメントマップの可能性

これはマップという名前の通り、情報自体は二次元なのだが、最終的にレンダリングされる時点ではメッシュを立体化することができるマップなのだ。

ノーマルマップとの違いは「輪郭線」に注目すると明らかだ。

Shade 12シリーズの新機能 | Shade 12 | Shade3D

これはつまり、ミドルポリ+ディスプレイスメントマップ=レンダリング時にハイポリ相当のリッチな凹凸表現ができる、ということになる。レンダリングに負荷を集中させ、中間作業ではミドルポリの軽快な操作ができる。いいとこ取りの技術。

サブスタンスペインターのリアルな凹凸をハイポリメッシュに適用できたら?

今までは、木製の板を傷だらけにしたメッシュを作るためには、傷を作るブラシとハイポリメッシュと、Zbrushでのスカルプト技術が必要だった。

だが、もしサブスタンスペインターで傷のテクスチャをディスプレイスメントマップ化できるならば、塗るように大小様々な傷をメッシュ表面に「用意」できる。そしてBlender上でハイポリメッシュに対してそのディスプレイスメントマップを「メッシュ化」する事ができるならば、そういう「傷をスカルプトするための技術なし」で、ハイポリメッシュに対してリアルな傷を無数に作ることができる。コンバート作業はPCに任せればいい。お茶でも飲んで休憩していれば終わる。

https://youtu.be/TQsNY8CTsmE

https://youtu.be/McALCOr39rY

もしかしたら「ランダムパターンのリアルなディティール」へのスカルプト技術は要らなくなるかも?

という感想が浮かんできた。サブスタンスペインターでリアルな細部を作り出し、ディスプレイスメントマップとBlender経由でミドルポリからハイポリへの詳細なメッシュ化が実現できるようになれば、スカルプト段階でのハイポリに意味がない。そもそも「何のためのハイポリ化か?」ということもあるだろうし、サブスタンスペインターの合成技術の差=リアルなディティールの差、となり得る。

極細かい微細な凹凸はサブペ上で陰影表現で作っておいて、ディスプレイスメントマップ+Blenderでハイポリメッシュ化する、Zbrush上でデシメートする、というルートが出てくるわけだ。

そうなると、修行のような「ディティールのスカルプト技術」は不要となる。サブスタンスペインター+Blenderがあっさりと取って代わる可能性がある。

デジタルはこういうパラダイムシフトがあっさり起こるのだ。

しかももっと恐ろしいのは、サブスタンスペインターでリアルな汚しの技術は「デジタル表現で完結するもの」には100%即効性があることだ。例えばフィギュア原型師が作ったZbrushメッシュについてサブスタンスペインターで色つけして仕上げれば、モニタ上での完成作品=デジタル表現としては完成する。その上もし3Dプリンタで出力することになったとしても、サブスタンスペインターのリアルなディティール表現をディスプレイスメントマップ+Blenderでメッシュ化すればいい。なのでサブスタンスペインターのスキルは全く無駄にならない。

無駄にならないどころか、スカルプト力がない表現についても、最終的なメッシュに反映させられるようになる。要するにフィルタの使い方を知っていて「傷を塗る」技術がありさえすれば、最終的に「傷のあるでこぼこしたメッシュを作成できる」わけだから、十字の傷だろうが小石による傷だろうが、同じアプローチで無数のパターンを作れることになる。それをメッシュ化できる。

何が「本当の実力か?」と問われるとわからないことになる。

もちろん、全体に影響を与える基本的な細部への加筆についてはメッシュを直接いじった方がいいだろう。

だが、この考えを応用すれば、ニーソの食い込み表現などの微細な表現を、スカルプトではなくてサブスタンスペインター上で「絵の陰影」として表現したあとにディスプレイスメントマップ+Blenderでメッシュ化する、という手法をとってもイコールならば「どうやってメッシュを作ったか」はどうでもいいことになる。従来通りのやり方にこだわるスカルプターの価値が下がることになる。

陰影のとらえ方に習熟した絵師+サブスタンスペインターが彼等を追い抜く可能性すらある。

ただしサブスタンスペインターとマップの使いこなしは知識量が必要

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と、ここまで妄想してみたわけだが、3DCGの知識、Zbrushの使いこなし、BlenderなどのDCCツール、各種マップについての知識、加えてサブスタンスペインターの習得となると、実はものすご~くハードルが高い(笑)この高みに達する人はどれくらい?ということになるので、すぐにはパラダイムシフトは起こらないだろう。

だが、論理的に考えれば、それらは可能だ。ランダムパターンの場合においてはほぼ確実に、スカルプト力よりもサブスタンスペインター+ディスプレイスメントマップ+Blenderでのメッシュ化ノウハウの方が上を行く。時間効率を考えればほぼ間違いない。前者はアナログ的だが後者はデジタル的だ。そして模様のパターンはサブスタンスソース上に無数にある。だが操作方法は一緒。デジタルの強みだ。加えて「十字の傷をスター型に変更して!」というニーズにも即座に答えられる。可逆性こそがデジタルの強みなのだ。



【結論】サブスタンスペインターの可能性

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ここまで一気に書き殴ったが、私はサブスタンスペインターをとても気に入った、ということだけではなくて、実はスカルプトにもものすごく強力な武器になるのではないか?と思ったわけだ。もちろん私はUV展開や各種マップについてはまだ学習中であって深い知識はないのだけれど、「見た目のフェイク表現のノーマルマップではなくて、逆にマップからメッシュ化できるディスプレイスメントマップ」については知識としてあるので、それとサブスタンスペインターとBlenderを生かせば、楽に「無数の傷などのランダムパターン」をハイポリメッシュとして表現できるのではないか?と思ったのだ。そうなればメッシュで表現するためのハードルが一段下がることになる。リッチでリアルなメッシュ表現が、よりお手軽になる。そこに可能性を感じたのだ。

最初、サブスタンスペインターは見た目重視のリアル化のためのテクスチャ作成ツールだと思っていたが、それだけには留まらない可能性を感じた。

ということで今宵の日記はこれでおしまいです。





今回の創作活動は約1時間30分(累積 約2,120時間)
(670回目のブログ更新)

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