画力がないなら立体を作ればいい

「何を作る」より「どう作るか」を考えたい人

アニメキャラの髪の造形が難しい理由

(約 5,200文字の記事です。)
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そもそもアニメキャラの髪は、リアルからデフォルメされた結果の絵の表現だ。それをいくら観察しても、立体構造は見えてこない。正しい立体構造を踏まえた上でのデフォルメ絵ではないからだ。あくまでもリアルな髪や髪のシルエットの印象からその角度の見え方・髪っぽさ・シルエットをデフォルメした結果の絵だから、立体としては破綻している。なので、いくらアニメ絵や元絵の三面図があったとしても、髪の毛は正しく立体化できないと思う。だから難しい。

先に結論を書いてしまったので、実は記事としてはこれで終了です(笑)後は単なる日記です。






ここしばらく忙しくて執筆ができなかったが、それだけではなかった。何を作ろうか、が見当たらないままであった。今回は、何を作ろうかを考えた日記。
オリジナル小説のワンシーン作りもとうとうモチベーションが消え(笑)、どうしたものかと思案中だが、もしかしたら長期的に髪の毛の作り方と格闘してみることになるかも知れない。

ワンシーン作りならUE4撮影になるかも

QuixelがEpicに吸収され、UE4でなら誰でも(大儲けしていない限り)無料で使える。QuixelのMegascansも無料で使える。ただし、UE4で使う場合のみ。他の場合には個人ライセンスで月額を支払う必要がある。もちろん技術的にはBlenderなどにもDLした素材を持って行ける。だがUE4での利用ではないので、最低でも個人ライセンスは必要、ということになる。どうするかは各自で判断。

正々堂々と扱うならUE4での絵作り、動画作りになる。Megascansのアセットは便利だし、ワンクリックでUE4に入る動画も目にした。UE4なら毎月の無料アセットもあるし、ある程度の完成度の永久無料アセットもある。使えないわけではない。各アセットの使い方が面倒なだけであって、材料は既にある環境だ。Blenderに行ったときにBlenderでワンシーン作りまで考えると、やはりアセットの乏しさは感じたし、風景や気象の制御にも悩んでいた。一方でTwinmotionならば楽ちんだが、細かい制御はできないし、なにせメッシュ類を取り出せない。Twinmotionでの絵作りに不満は今はないが、今後の発展性の行き詰まり感は感じているため、Twinmotionのみに絞ることはしていない。

なので、これらを考えると、手間暇かけてUE4での絵作りのノウハウをコツコツと貯めたほうが長期的には自分にとって財産になると思っている。なので、回り回って、結局はUE4での表現に戻るかも知れない。これはだいぶ遠い未来の話。しばらくはTwinmotionや、物撮りならばBlenderのCyclesでの静止画表現かも知れないのだが。

キャラモノ

これもどのキャラを作りたいとか全くなくて困る。ファンアートとして二次創作物(二次著作物)の創作OKの作品としていくつか選んでいたのだが、Fateやシュタゲあたりが何となく気に入っているが、そもそもキャラモノを作ってどうするの?というところがない。作ることが楽しいなら作ればいいだけだが、果たして楽しく作れそうかと言われると、謎である。苦行の末に完成させるならば、作るのが苦行な分けで、苦行をしたいかと言われるとNoなので、やっぱりモチベーションがない(笑)

で、キャラモノを仮に作るとして、工程を考えてみた。

  1. 素体(これはテンプレ的なマネキンを作ればいい&使えばいい)
  2. ポージング(Blenderでリグ入れすれば簡単にできる。すでにリグ入れ技術はある)
  3. 衣類(しわはアナログ作業なので試行錯誤で体得したりノウハウ構築が必要)
  4. 小物(これはZbrushやBlenderを使って作るしかない。ほぼポリゴンモデリングなのでBlenderが活躍しそう)
  5. 髪の毛(文句なしに難しい、面倒だ)


だいたいこんなモンかな?私の数少ない経験上。後はマテリアルなどの見え方、要するに撮影技術に入ってくるので今は割愛。造形までのことだけを考える。

アニメキャラの髪の造形が難しい理由

なぜアニメキャラの髪の造形が難しいのか考えてみた。それは、そもそもが平面表現のままだから。ベタ塗りと、艶と影塗りで何となく立体的に見えるが、いざメッシュで表現しようとすると、360度の資料を用意しても謎が多すぎる。もちろん頭のてっぺんから見下ろした資料などあるはずも無い。だから、立体表現として完全な髪の毛束の立体資料は、ないことになる。なので造形師のセンスで作り上げることになる。資料に似せつつも、やっていることはオリジナルの造形と同じだ。だから技量も必要だし、元絵に似せる表現力も必要だ。だから難しい。

なので、モデリングの教則本を全て理解できたとしても、髪の毛の造形はいきなりへなちょこスタートなのだ。「どういう形を作るか」が、いきなり不明なのだ。作りながら考えるのは結構効率が悪い。仕上がりもパッとしないことも多い。特にトポロジを利用した造形なら100%、やり直した方が綺麗になる。スカルプトなら多少は軌道修正が可能だが。

トポロジ問題

髪の作り方にもざっくり2種類あって、最初からハイポリでスカルプトで作る方法と、最初はローポリの髪をコツコツ切り貼りして作り、終盤でダイナメッシュなどで結合してスカルプトで仕上げる方法だ。前者はいきなりブラシ技術が要求されるし、それがないと仕上がらない。下手なねんど細工で止まってしまう。後者は、ローポリなのでエッジを立てやすいが、トポロジ依存なので作業途中での彫り込みなどができず、ディティールを入れられるのは後半だけ。なので毛束の形状の変更を後半でやりたくなると、かなりの工程がやり直し全滅のリスクがある。(そもそもハイポリ状態での曲げ、ねじり制御はZbrushは苦手。今でこそBlenderでちょちょいと修正できるけれど)さらにはハイポリで変形させると必ず面が荒れるのでその修正のためのブラシ技術が必要になる。

なので、ブラシ技術を避けてローポリスタートにすると、プチプチ操作が大量発生する割には、仕上げにも結局はブラシ技術が必要になるわけで、結局はスカルプトで髪を仕上げられるだけのブラシ技術がないと、完成しないわけだ。(もちろん最後までローポリ+ダイナミックサブディブやサブディブ表現で仕上げるという猛者ならばそれが不要だろうが……。)

結局ブラシ技術が必須

ということになる。ハイポリ後にエッジを保ったまま平面的にポリッシュするブラシ技術も必要だし、なまったエッジを立て直す技術も必要だろう。有機的でありながら幾何学的な平面やエッジをブラシで制御する必要がある。これって結局、ローポリ、ハイポリ、有機的、無機的、全ての要素をブラシで制御できる必要があるってことだな。だからハードルが高い。Zbrushの全ての技術がないと仕上げられないことになる。

ってことは、

髪の毛の造形と真摯に向き合えばZbrushのブラシ技術は格段に上がる?

と思ったわけ。今作りたいモノがないなら、とりあえず髪の毛や毛束を「完全に思い通りに自由に」扱うことを目指して試行錯誤して記事を書くのもいいな、と思ったのだ。需要はあるだろうし、自分自身でもブラシの技術は高めたいと思いつつも、モチベーションがなかったが、これならば面白く取り組めそうだ。

どのキャラの髪を作るか、ではなくて、どんな髪、髪型、毛束を作るかってのは、興味が湧いてくる。何を作るより、どう作るかが今の私には大切だから。

彫刻の基本は観察と理解

スカルプターのための美術解剖学という高めの本には、観察することと仕組みを理解することとが書かれている。人体の構造、筋肉の構造、ポーズによって変わる肉の凸凹の変化を、観察と理解とでつかみ取ろうとする素晴らしい本だ。手首の回転と肘との骨の関係なんかは、知る人ぞ知るとも言える。

で、髪についてはどうか?そもそもアニメキャラの髪は、リアルからデフォルメされた結果の表現だ。それをいくら観察しても、立体構造は見えてこない。正しい立体構造を踏まえた上でのデフォルメがされているわけではないからだ。あくまでもリアルな髪からその角度の見え方・髪っぽさをデフォルメした結果の絵だから、立体としては破綻している。なので、いくらアニメ絵や原画の三面図があったとしても、髪の毛は正しく立体化できないと思う。だから難しい。

髪の毛を自分なりの解釈で立体化するとしても、次に立ちはだかるのは自分自身の表現力の問題。脳内でメッシュが作れても、ソフト上でメッシュにできなければ無である。そのためにはソフトの使いこなしやメッシュの起こし方のノウハウが必要になる。だから作業が大変だ。

恐らくは現在のフィギュア原型師などは、そういうデフォルメ後の髪の立体化方法や立体形状に長けている。だからこそ、髪の造形ができる。なので、デジタル・アナログ無関係で、フィギュア作りを始めたばかりの人ならば、上手い髪が作れず苦労するだろう。ご自身の手で粘土で作れない形は、デジタルツールでもまた作れない。作り方の問題ではなく、作る形のイメージができているかどうか。

では、アニメや原画をいくら観察しても作れないならば、どうすればいいか。現実の髪を観察するしかない。

現実の髪を観察して、独自の解釈でデフォルメして立体化する


例えば、六角レンチやスパナは、誰でもモデリングできるだろう。スパナの微妙な曲面にどれだけこだわるか、などの表現力の問題はあるにせよ、あの形は誰でもモデリングできると思う。六角レンチならばFusion 360なら瞬殺だろう。誰でもモデリングできる理由は、現実の立体物として誰でもイメージできるから。人生で一度は触って立体構造を理解しているから。

では、今思いついたキャラクターの髪型を、360度綺麗にイメージできるか。Noだろう。セイバーさんの髪、前髪、横髪、その頭部との継ぎ目は?という具合である。

だが、似たような髪型の写真なら、現実に存在する。似た前髪、似た横髪も、実在する。後頭部の、お下げを丸く円環にしてまとめる髪型も、写真としては実在するだろう。

ならば、実在する髪を観察して、自分なりの解釈で毛束をまとめてモデリングし、実在の完成型と自分のモデリング結果をと比べてみて、その出来や表現が上手いかどうかを観察してみてはどうか?これならば答えがある。実在する髪だから。どこまで似せるかも、答えがある。どこで満足できるか。どこまでデフォルメして満足できるか、仕上がりと実在の髪とを見比べて満足できるまでやればいい。

それをやりつつワークフローの模索

もちろん、最初からハイポリでスカルプトで髪を作るならそれでおしまいだ。だがそれは応用が利かない。デジタル上でのアナログ作業だから、効率化もできない。
だが、もし毛束を1つずつ作るやり方ならば、割といい感じのIMブラシの開発や使い回しなどでペタペタ作業することである程度まで一気に形になるとすれば、それは探る価値がある。IMブラシのバリエーションが増えることで、同一工程でもロン毛からショートヘアまで作り出せる可能性がある。ある程度まで形になってからダイナメッシュなどで結合してスカルプトするのであれば、品質の一定化が可能だ。ペタペタ作業で完成した形までは、確実に形になるわけで、そこから先の彫り込みによるディティールアップに依存しない、デジタルな作り方で髪を作れる。

そうなれば、二次創作キャラ作りでも役に立つし、オリキャラ作りでも役に立つ。現実の髪型の組み合わせで自由に表現できる分けだから。(もちろんその先の衣装デザイン、配色、ポージングなど先は長いけれど)

何にしても、髪型作りで苦労しないよ、というレベルに達すると、それ以後の造形表現に多大な貢献をする事は間違いない。ロン毛ならば動きのダイナミックな表現に貢献するわけだし、ショートヘアなら男性キャラ作りに強くなれるだろう。一番応用が利かないのは恐らくセミロングだろう。一方で作りやすい気がするが、無個性になりがちな気もする。実際、今の私では、どう工夫していいか分からない。筋彫りの工夫の余地がない。それもやはり、実際のセミロングの髪を観察していないから、特徴を決める造形ができないからそう感じているのだろうと思っている。


というわけで、今後はコツコツと、毛束と表現力と実際のヘアースタイルとの観察を繰り返してみようかなと思います。Zbrushのデモヘッドを使って思い通りの毛束を作るための試行錯誤という、割と地味な記事が続くかも知れません。ですが、髪型もベリーショートからロングヘア、沢山あるから、なかなか長期シリーズになるかも知れない。また、各種において毛束IMブラシだったり、ハイポリスカルプトだったりを試すから、組み合わせ的には膨大になる。3DCGのデジタルヘアーサロンと化すかも知れない。恐ろしい。


実際にやるかどうかはまだ未定です。




今回の創作活動は約1時間30分(累積 約1,235時間)
(438回目のブログ更新)