大和式モデリング手法の有効性を確認できた

(約 4,600文字の記事です。)
とりあえずアズレンのU-556の靴完成。一通り技術的な検証が終わったので、このシリーズは多分これで終了。体とか作りません(笑)

前回の記事はこちら。

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さっそく大和式モデリング手法を試してみた 大和式モデリング手法の基本概念ができたのでさっそく試してみた。改良の余地はいくつかあるが、今までの漠然とした作りよりもスマートで効率的に作れるようになった。...
目次

完成した靴

造形対象はアズレンのU-556の靴のみ。

【艦船紹介】
潜水艦・U-556
鉄血所属の潜水艦。外見相応子供っぽい面もあるが、
約束を違えずで責任感強く、素直で真面目な「海のパーシヴァル」。

鉄血艦隊の指導者であるビスマルクとはある「約束」をしており、
彼女のことをいつも気を掛けている。

期間限定建造で登場予定!#アズールレーン pic.twitter.com/mWYcMfz4F4

— アズールレーン公式 (@azurlane_staff) 2019年5月18日

で、完成型はこちら。

20190806163417.png

20190806163830.png

ただし技術の検証が目的なので右足の右側面のみを作り左右対称造形までで終了。そのため左足から分かる情報は反映させていません。作り込むことが目的ではなく、完成させることが目的でもなく、大和式モデリング手法で本当に造形できるのかを試しただけです。

結論 極めて有効

下書きモデルはこちら。

20190803132648.png

完成型はこれ。

20190806163631.png

途中で完成にしちゃおうかな?と思ったのがこれ。エッジがブーリアンで打ち抜きっぱなし。エッジが直角。

20190806163714.png

角にRを付けたのが真の完成型。

20190806163849.png

ブーリアン減算のままだとこんな感じ。
悪くはないけど、なんかあと一歩足りない感じだったんだよね。

20190806172914.png

ちなみに細い筋は素直に直角のままです。まだ筋彫り用カーブブラシを開発していないので、普通の四角いカーブブラシを使ったため。

なお、下書きモデル以外ではスカルプトしていません。筋彫りもブーリアン減算だし、そのメッシュ自体もカーブブラシで作成。

途中でのバランス修正のために部分的な修正を色々している

作ってみて初めてわかる部分ってのが多いため、各部の微調整が生じる。だが大和式モデリング手法はそれが前提なのでいつでも調整可能。線の幅、彫りの深さ、ヒールの3枚のフィンの位置や間隔、厚さなど。踵の後ろの突起の形状や太さも結局最後に調整し直していたりする。ソレができる。

太い溝のエッジにラウンドを追加できたのもこの手法による造形だから。筋彫りだったらやり直しだし、やり直しで全く同じラインで引き直すことは困難だ。

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仕上げてみて沢山の発見があったので簡潔に書こうと思う。

大和式モデリング手法 Ver.0.1.3

  1. デジタルを用いた「実はアナログな制作手法」からの脱却
  2. スカルプトをなるべく使わずに完成させる
  3. デジタル資源のフル活用(コピペ、使い回し、マクロやプラグインによる自動化、自作ブラシによるメッシュ生成)
  4. 全部やり直ししないで部分的にやり直せること
  5. スカルプトリスプロモードで下書きモデルを作る
  6. マスクやペイントブラシで下書きモデルに完成イメージを描き込む
  7. 下書きモデルからローポリモデルを生成する
  8. 完成させたら必要に応じてハイポリ化、最終調整
  9. スカルプト力が前提でありながら、それ以外のものを積極的に活用するスタイル
  10. トポロジからの開放
  11. サブツール単位でダイナミックサブディビジョン用にZRemesherでリトポ&トポロジ調整

今回の追加分

  1. メッシュ操作は角の制御専用
  2. 筋彫り用メッシュはカーブブラシで作る
  3. 単純な形の図形をサブツールで重ねる
  4. ZModelerの使いこなしが肝

メッシュ操作は角の制御専用

スカルプトしないで形を作るってことは、結局はローポリモデリングみたいな扱いになるので、ZModelerをふんだんに使う。だが、そのほとんどの操作は、実はダイナミックサブディビジョンのRやクリースエッジの制御のために行う。角以外の面は、下書きモデルでできているので後は自動的に滑らかな面になる。なので、滑らかではない面を制御するためにメッシュ操作が必要。それ以外はブラシで表面をなでて微調整する程度。ローポリなので調整可能な頂点数は限られるし、それでつるんとした面が出せる。そしてカーブ面の表現に必要な頂点数は、実はZRemesherをかけたときに自動的に定まっている。なので後から追加する必要はない。そういう操作は、角の制御のためだけに行えばいい。

筋彫り用メッシュはカーブブラシで作る

筋彫り用メッシュ、最初の頃はマスクから抽出したり、ペイントブラシ>マスク化>抽出などを試していた。だが、デメリットだらけだった。そして気が付いた。お絵描きによって筋彫り用の線を引くことは「デジタルツールで行うアナログ作業そのものだ」ということに気が付いた。アホらしい、やってられない。

で、色々考えた結果、カーブブラシを使ってメッシュ表面に筋彫り用のメッシュを作成すればいい。確実に等幅だし、手ぶれも関係ない。カーブブラシの使いこなし技術だけが必要だが、ソレさえあれば微調整はいくらでもできる。カーブブラシならば線の密度を高めにしておけば急な曲げも作れるし、水色ブラシの直径を変えれば全体移動も簡単だし、一部分だけを直線化することも簡単。手で線を引いたら、一部だけを修正したいのに全部やり直しになる。これがアナログ作業のデメリット。だがカーブブラシならばカーブラインを残すことが可能なので、作業後半でライン修正したくなっても割と簡単に修正できる。これには結構なノウハウが必要だけれど。

とまぁ、結局、上手くブーリアン筋彫りを行うためには、かなりのノウハウが必要だ。それらは今回の検証で得た。それを駆使すれば、直角な溝も、V字溝も、今回のようにRを付けたラウンドエッジも作成可能だ。スカルプトによる筋彫りでは到達できない領域にあっさり到達した。これが大和式モデリング手法の武器である。私はもうスカルプトで筋彫りすることは無いと思う。やってられないし。

単純な形の図形をサブツールで重ねる

当初、踵の舵部分は面倒だから完全なローポリモデリングで1メッシュで作っちゃおうかなと思った。だが、すぐに気付いた。そっちにほうが遥かに効率が悪い。1メッシュで串団子を作ると、後から串の直径を変えたくなったときに全滅する。串と団子は別々のメッシュであった方がいい。つまりサブツール分けした方が便利だ。

また、舵の部分の微妙なR付きの3枚のフィン、これは1メッシュから作ることはかなり難しいし、微調整ができなくなる。結局、ブーリアンによる交差と加算で表現している。

20190806170615.png

ZModelerの使いこなしが肝

舵の部分、等幅で一発で縁取りが作れるかどうかは、ZModelerの知識次第だ。知識として覚えていたが、使ったのは初めて。覚えていて良かった。ドラッグ一発で四辺を作成。後はExtrudeで押し込んでいる。凹んだ部分を別でサブツール化し、これまたZModelerで盛り上げ、別に用意した3枚の板ポリで交差で抜き出し。3枚の板ポリはギズモ3Dで等間隔に並べることができる。

舵の上のキャップのR付けなんかもZModelerの知識が無いときつい。が、知っていればドラッグ一発で作れる。外周のRの付け方はダイナミックサブディビジョンとInsert Edgeloop&Slide Edgeloopで調整する。これもダイナミックサブディビジョンの基本技術だ。全周のRをブラシで出すようでは日が暮れる。そんなことはしない。

なので、ラフモデリングからの造形ではZModelerの技術だらけである。これなしには何もできない。だがスカルプトはしない。それは下書きモデリングの段階で終わっているからだ。

なので大和式モデリング手法は実は、

  1. 下書きモデリングのためのスカルプト力
  2. スカルプトした形を適度なメッシュにするためのZRemesher技術
  3. ダイナミックサブディビジョンでR制御
  4. ZModeler技術

という4輪だったのだ。2輪から4輪になりました(笑)この4つが大和式モデリング手法の肝だ。まぁ、こんだけありゃなんでも作れるでしょ?と思うが、重要な点は最初にだけスカルプトして後はスカルプトしないってことだ。最もコストが高くてかつ思い通りに作れる手段=スカルプトで最初に完成型を作ってしまう。あとの工程は、

  1. 後からの微調整ができるための仕組み作りと、
  2. 滑らかな面作りのため

だけの工程だ。この2つを同時に満たさなくていいならば、ごりごりスカルプトでOKだ。だが修正に弱い。全滅のリスクだらけだ。つまり全部やり直しね。これを避ける唯一の方法は、スカルプトしないこと。スカルプトしないで形が作れれば、部分的なやり直しができる。作業の前後の工程を独立させることができるからだ。その判断を行うためにも、スカルプトで最初に完成型を作ってしまったわけだ。「下書きモデルのこのエッジは、ZModelerで作るべきか、サブツールで重ねて作るべきか、ブーリアン減算で作るべきか」を検討できる。鋭いエッジは、このように3通りで作れる。鋭いエッジはスカルプトで作る必要は全くないし、デメリットしかないからなおさらだ。

ただ、下書きモデリングでは、「ここにこういう鋭いエッジが必要だ」というイメージを形にする必要があるため、スカルプト段階でだいたいエッジを作る。Dam Standardやお好きなブラシやピンチブラシなどでどうぞ。ソレさえ分かれば、手ぶれでふにゃふにゃでも構わない。ラフモデリング時にローポリモデルでスパッと作ればいいだけだから。それをどう作るかは前述の通り。

おわりに

というわけで今回も大和式モデリング手法はバージョンアップした。必要な車輪が2つから4つに増えた。有効性が確認出来たので、モデリングは一端終了。ここまでで得たノウハウから、自動化できそうな手順をあぶり出して、プラグインやマクロなどでより効率化する予定。ノウハウはもう少しまとまったら執筆予定。まずはツールの整備かな。そしてその次に、また何かをモデリングする際にツールと大和式モデリング手法でテストしてみたい。

今回の創作活動は約6時間(累積 約923時間)
そのうちモデリング作業 約5時間30分(累積 約160時間)
(316回目のブログ更新)

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