さっそく大和式モデリング手法を試してみた

大和式モデリング手法の基本概念ができたのでさっそく試してみた。改良の余地はいくつかあるが、今までの漠然とした作りよりもスマートで効率的に作れるようになった。今回はその途中経過。

目次

おさらいと前回の結果

造形対象はアズレンのU-556の靴のみ。

【艦船紹介】
潜水艦・U-556
鉄血所属の潜水艦。外見相応子供っぽい面もあるが、
約束を違えずで責任感強く、素直で真面目な「海のパーシヴァル」。

鉄血艦隊の指導者であるビスマルクとはある「約束」をしており、
彼女のことをいつも気を掛けている。

期間限定建造で登場予定!#アズールレーン pic.twitter.com/mWYcMfz4F4

— アズールレーン公式 (@azurlane_staff) 2019年5月18日

さっそく下書きモデル作成。これは30分くらいでスカルプトリスプロモードでざっくり作った例。
今回はペイントブラシで彫り込み箇所にも線を入れてみた。

20190803132927.png

ラフモデリング、コレジャナイ

下書きモデルを半透明にし、それを見ながらローポリ+ダイナミックサブディビジョンで作成。
その結果。

20190803133243.png

細部が表現できていない。面全体はつるんとしていても、細かい形が出ていないので違和感。

と、ここまでが前回の記事のお話。詳細はこちら。

あわせて読みたい
モデリング結果は色々と残念だったのでZbrushワークフローの見直し (約 4,300文字の記事です。) 色々あってアズレンのU-556の「靴だけ」をモデリング練習してみようと思い立った。ちなみにアズレンというゲームはやったこともないです...

大和式モデリング手法で作り直し

今回の作業はこんな感じ。

  1. 下書きモデルの表面をマスク
  2. 抽出
  3. ダイナミックサブディビジョン用にトポロジ修正(ZRemesherでリトポ)
  4. サブツール分け

足の甲のパーツはこんな感じになりました。

20190806000523.png

全体的にはこんな感じに。

20190806000732.png

この段階では、筋彫りしていない。するつもりもないし、これだけローポリなんでブラシで彫れるはずがない。

20190806000959.png

と、ここで筋彫りの手法についてあれこれ検討していたから時間切れ。

ライブブーリアンによる筋彫りの威力

大和式モデリング手法の通り、「ハイポリにして筋をブラシで彫り込む」ことはしない。ライブブーリアン減算で彫る。

ちゃんとした等幅の彫り込みもあったんだけどスクショ忘れた。なのでテスト中の可変幅の筋彫りテストの結果。

20190806000905.png

自由度の高さ、変更の自由さ

当たり前だが、ブーリアン減算なので、後から変更がいくらでも可能。もちろんベースとなる靴の形の変更も可能だ。大きな変更ならば筋彫り用メッシュの形状変更も必要だが、できなくはない。また、筋彫りの形状を変えることも可能。例えばV字溝にしてみた例。

20190806001212.png

溝がV字で、可変幅、しかも滑らか。もちろん谷の中央は等幅の中心線です。むしろ上寄せ、下寄せの調整も可能。(この辺はZModelerの技術力に大きく依存しますが。)

これを従来のローポリモデリングでやるのは大変だ。最初からこの形を作ることはできるかも知れない。重要なのは、一部の変更によってここに到達できたということ。そしてこういう変更はいくらでもささっと追加変更できるということ。これが大和式モデリング手法の強みだ。

デジタル100%の旨味。それはいつでも部分的な変更が簡単にできること。これはハイポリ+筋彫りブラシなら絶望的なほど時間がかかる。しかも深さ一定で可変幅なんて、私にはハイポリでの筋彫りでどうやって作るかのアイディアがない。だが大和式モデリング手法ではあっさりだ。どこまでも自由。

具体的な手法についてはまとまった頃に改めて執筆します。

まだ自分自身も模索中。だが、一発目でいきなり手応えを感じている。また、この手法を常用するにあたり、いくつか便利なプラグインも開発予定。繰り返し操作はPCに任せるという原則に従う。

この造形、下書きモデリングでスカルプト全開だが、ラフモデルでは全くスカルプトしていない。ブラシを使って微調整はするけれど、それは単にブラシで「頂点群の調整」をしただけでスカルプトとは言いがたい。この点については、以前にも沢山書いてきたのだが、ハイポリは面が荒れやすく、調整しにくいというデメリットがある。これは何を作るにしても言える。人肌だけが例外なんてことはない。人肌であっても綺麗な面が必要ならば、そんなにハイポリが必要か?と思う。これは追々自分自身で実践して証明すればいいだけなので割愛。今はまだ手法自体の洗練が先。

大和式モデリング手法 Ver.0.1.2

  1. デジタルを用いた「実はアナログな制作手法」からの脱却
  2. スカルプトをなるべく使わずに完成させる
  3. デジタル資源のフル活用(コピペ、使い回し、マクロやプラグインによる自動化、自作ブラシによるメッシュ生成)
  4. 全部やり直ししないで部分的にやり直せること
  5. スカルプトリスプロモードで下書きモデルを作る
  6. マスクやペイントブラシで下書きモデルに完成イメージを描き込む
  7. 下書きモデルからローポリモデルを生成する
  8. 完成させたら必要に応じてハイポリ化、最終調整
  9. スカルプト力が前提でありながら、それ以外のものを積極的に活用するスタイル
  10. トポロジからの開放
  11. サブツール単位でダイナミックサブディビジョン用にZRemesherでリトポ&トポロジ調整

サブツール単位でダイナミックサブディビジョン用にZRemesherでリトポ&トポロジ調整

作業の途中であっても、サブツール単位でのリトポが必要なことが分かった。それはダイナミックサブディビジョン用だ。ダイナミックサブディビジョンでは曲面の制御のためにエッジループの間隔を制御する必要がある。この制御は「造形のためのトポロジ制御」なので問題ない。形を作るためのトポロジ調整なのだ。

(逆はだめだ。トポロジ調整するために形を作ったり形作りの制限が加わるのでは本末転倒。)

恐らくはこれが大和式モデリング手法の中でも数少ないトポロジ制御の工程だろう。ダイナミックサブディビジョン用のトポロジ調整はカーブのRに影響を与えるので必須の作業だ。また、このトポロジによってはダイナミックサブディビジョンで上手く形が作れないこともある。だからここでは例外的にトポロジの調整ノウハウが必要になる。

ま、どのみち最後の最後にトポロジ調整することになるので、ZRemesherによるトポロジ制御は大和式モデリング手法でも必須の技術だ。バイクの両輪の片側とも言える重要な技術。だが、残念ながら序盤で必須となってしまった。なので大和式モデリング手法を実践するためには、早い段階で必須知識の習得が必要になる。そういう意味では、意外とハードルの高い手法かも知れない。

もっとも、大和式モデリング手法では前提知識としてウチヤマ本とまーてい本を終えている程度の知識が必要となることを前提としている(つまり筆者の今の実力)。

作って覚える!  ZBrushフィギュア制作入門

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  • 作者:ウチヤマ リュウタ
  • 発売日: 2018/03/02
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
しっかり身に付く ZBrushの一番わかりやすい本

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  • 作者:まーてい
  • 発売日: 2018/10/20
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)

自由に形を作るのに知識が無くていいなんてことは絶対にない。勉強は必要。それが3DCG。

おわりに

期せずして大和式モデリング手法のバージョンがアップした(笑)条項がどんどん増える。でも、自分で自分の造形のガイドラインを作っていけるってのは、なんだか冒険しているみたいで楽しい。ワクワク。さて次はどんな課題が見つかるのか。次回に期待。

今回の創作活動は約3時間15分(累積 約917時間)
そのうちモデリング作業 約3時間(累積 約154時間)
(315回目のブログ更新)

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